去年だったかに地元の中古屋の棚で見つけ、裏ジャケに「ゾンビ✖️マカロニ✖️VFXが融合したサバイバルホラー」とあり、数百円の安さもあって、ウホウホ購入した一作のこれ。
そーっと郡山に持っていくつもりが実家に忘れていたのを娘たちが発見し先に鑑賞、「おとーさん、こんなのを喜んで買ってるんだ」と苦笑されたという、いわくつきの一本を昨夜酒飲みながらやっと鑑賞したのであった。
アンデッド (2003年)UNDEAD
製作・監督・脚本・編集 : ピーター・スピエリッグ、マイケル・スピエリッグ 撮影 : アンドリュー・ストレイホーン 音楽 : クリフ・ブラッドリー
出演 : フェリシティ・メーソン、ムンゴ・マッケイ、ロブ・ジェンキンス、リサ・カニンガム、ダーク・ハンター、エマ・ランドール
おお、なんか2本続けての「アン」始まりの映画レビューになってしまったぞ(笑)。
ご覧のクレジットの通りのザ・スピエリッグ・ブラザーズ(双子の兄弟)が低予算で撮り上げた自主映画。その後口コミで拡がり世界各地の映画祭等で評判を呼んだという、オーストラリア産のゾンビ・アクション・ムービーだ!
「ある日突然隕石の飛来でゾンビが出現」と言うと、懐かしのロメロの「ゾンビ」の日本でのTV放映版みたいなイントロダクションだが、こちらでは文字通り隕石に直撃された人々がゾンビ化する(笑)。
普通、隕石が直撃したら人体四散しそうだが、この映画では綺麗に穴が空いたりするんですな(笑)
まあこの時点で何となく全体を包むノリはわかって酒飲みながら見出したのだが(笑)、このちょっと懐かしさを感じるタイトルといい、平和な街バークレーにアンデッドたちが溢れ、色んな立場の連中が一軒家に立て篭り…と、過去のゾンビ映画の王道パターンを継承しつつも、低予算ながら頑張っている画づくりや編集、それに適度なユーモアを織り交ぜていて、ちょっと好感が持てる作りなのだ。
ミス・バークレーでもある主人公的女性のレネや、変わり者の一見農夫、実は武器商店主のマリオンを中心に、マリオンの家に逃げ込んでくるいけ好かない親父警官と気の弱そうな女性警官のコンビや、レネにミスの座を取られて今は妊婦の女性とその旦那という、中々にキャラの立っている6人に絞った作りも良い。
まあ、左端のレネが「どこがミス?」というくらいにさほどチャーミングじゃないとか(笑)、警官が中々にゲスな扱いとは言え、この連中がアンデッド達にどう抵抗、脱出していくのだろう?と期待は持たせてくれる。
しかし…予算はかかってないが決してチープでもない、精一杯頑張った感のある視覚効果もあり、思ったほど酷い方向にはならずにストーリーも進み安心していると、中盤から足元をすくわれる展開になる油断ならない一作だったのだ!
まず、立て篭もった家から脱出し、車を走らせると街を囲むようにそびえ立つ謎の高い壁が!
加えて酸性雨と空から降り注ぐ謎の光とそこに吸い込まれる人々!という、予想だにしないSF的展開が待っているのだ!
この展開のオチがまた予想の斜め上。「えええ!そーなんですか?!」という、口あんぐりの、だが言わばめでたしめでたしエンディング。
かと思いきや、あららららの再逆転も有りで、酔った頭は混乱するばかりで(笑)、翌日もう一回見直したけど、やはりそういう展開でした(笑)。
正直、嫌な奴は悲惨に死ぬなどのお約束も守り(笑)、まゴアシーンを含め、ゾンビ物としてそこそこテンポも良かったから、最後まで「ゾンビ倒します!」と貫いて欲しかった気持ちもあるし、ゾンビと宇宙的SFとの相性は悪いと個人的には思うのだ。
ただ、ジャケットにあった「マカロニ」風味は希薄なれど、3連改造ショットガンを持つマリオンの、もっさりした身体に似合わないアクションのカッコよさも含め、「絶対今までにない映画にしちゃるけんね!」というスピエリッグ兄弟の意地に免じて良しとします(笑)。
彼らはその後ハリウッドに招かれ、SFサスペンス・アクション「デイブレイカー」やSFの巨匠ロバート・A・ハインラインの短編『輪廻の蛇』を映画化した「プリデスティネーション 」を監督。さらに「ジグソウ:ソウ・レガシー 」そして「ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷 」などなど、気になっていたのに自分は未見作ばかり監督していて、順調にキャリアを伸ばしているようで何よりなのだ。
そんな彼らの原点の本作、心の広いB級映画好きの方には是非勧めておきたい一本であります!