スポットライト 世紀のスクープ (2015) SPOTLIGHT
監督・脚本:トム・マッカーシー 製作:マイケル・シュガー、スティーヴ・ゴリン、ニコール・ロックリン、ブライ・パゴン・ファウスト 脚本:ジョシュ・シンガー 撮影:マサノブ・タカヤナギ プロダクションデザイン:スティーヴン・カーター 衣装デザイン:ウェンディ・チャック 編集:トム・マカードル 音楽:ハワード・ショア
出演:マーク・ラファロ、マイケル・キートン、レイチェル・マクアダムス、リーヴ・シュレイバー、ジョン・スラッテリー、ブライアン・ダーシー・ジェームズ、ビリー・クラダップ、スタンリー・トゥッチ、ジェイミー・シェリダン、モーリーン・キーラー、ポール・ギルフォイル、レン・キャリオー、ニール・ハフ
ああ、いいなあ。かの「大統領の陰謀」を思い出す、ボストンの地元新聞“ボストン・グローブ”の記者たちの、真実に向かう姿が本当にかっこいい。
記者たちがひたすら「事実」を重ねていくように、映画も淡々と派手さも無くその姿を追っていくが、カトリック教会が長年隠蔽してきた神父による児童虐待、それを隠し続けた「教会というシステム」の真実を暴いていく様はスリリングで、ぐいぐい物語に引き込まれた。
物語と書いたがこれが実際に起こっていたとはなあ・・・。自分はキリスト信者でもないし、宗教が生活に関わることがほとんどないからその衝撃は想像するしかないが
、心の拠り所・規範としていたはずの教会のスキャンダルは、その内容、件数の多さ、規模の大きさは想像する以上にショッキングだったろうと思う。
宗教というものは個々の信条の基になるだけにまさにアンタッチャブル、政治権力以上にタブーの多い存在なんだと思う。日本で言えば皇室でのスキャンダルみたいなものなんだろう。
この大きな権力であり、生活に根差し、読者の半数以上も信者だというカトリック教会に立ち向かう特集記事欄《スポットライト》の記者4人がとにかく魅力的だ。
お久しぶりのマイケル・キートンが演ずるロビーの、理知的なキャップを筆頭に、ハルクに変身することはないけど(笑)、熱いジャーナリズム魂を魅せるマーク・ラファロ演ずるレゼンデス、冷静に資料を分析しつつ自分の家の近くに事件の現場があったことを知り我が子を心配するブライアン・ダーシー・ジェームズのマット、そして紅一点、被害者に寄り添うように取材を続けるレイチェル・マクアダムス演ずるサーシャ。このスポットライトチームの阿吽の呼吸の仕事ぶりに加え、取材を命ずる新任局長や上司、協力する弁護士など、とにかく周囲の人物描写も秀逸。アカデミー作品賞も納得の良作だった。
このチームの取材で、真実が明らかになるにつれ事の重大性に気づき、その隠蔽された過去への怒り、真実を公表する使命感へと周囲も巻き込みながら熱を帯びて行く様が、サスペンス的な緊張感とともに描写されるのが非常に気持ち良かった。
特に封印されていた重要な文書の公表を「これを報道して誰が責任をとるんだ?」と問う判事に「では報道しなかったら誰が責任を?」と返すレゼンデスのシーンなどほんと痺れたなあ。
9.11の同時多発テロで中断しても尚、きっちりと報道する姿勢。加えて実はこの情報をもっと前に知らされていたのに「誰も重要性に気付かず調べようとしなかった」という自分たちの反省もしっかり踏まえて、それでも前に進むこういうアメリカのジャーナリズムの良心、その潔さはほんと頭が下がる。
声高に教会を糾弾するのではなく、ましてやピューリッツア賞受賞の華やかさも描くことなく、懸念されていた記事への抗議では無く、被害を受けた人々のやっとあげることができた「声」が次々と寄せられるというラストシーン、彼らの「真実の報道」というさらに続いていく戦いのスタートをさりげなく描写する語り口も凄く良かった。
ラストで問題が波及した都市名が列挙されていたが、その余りの数の多さに驚いた。問題が明らかになった後、被害者への膨大な補償金で破産した教区もあったそうだ。結婚が許されないカトリックの禁欲的な教理がその背景にあるのか、今でも一定数の幼児性愛者がいるという事実の重さ。あれだけの数の被害を2003年のこの記事まで隠蔽し続けることができたことなど、閉鎖された組織の「闇」の根深さを示して余りあると思う。カルトでもない超メジャーのカトリックですらこれなのだから、「宗教」というものの難しさを痛感する。
この大きな権力であり、生活に根差し、読者の半数以上も信者だというカトリック教会に立ち向かう特集記事欄《スポットライト》の記者4人がとにかく魅力的だ。
お久しぶりのマイケル・キートンが演ずるロビーの、理知的なキャップを筆頭に、ハルクに変身することはないけど(笑)、熱いジャーナリズム魂を魅せるマーク・ラファロ演ずるレゼンデス、冷静に資料を分析しつつ自分の家の近くに事件の現場があったことを知り我が子を心配するブライアン・ダーシー・ジェームズのマット、そして紅一点、被害者に寄り添うように取材を続けるレイチェル・マクアダムス演ずるサーシャ。このスポットライトチームの阿吽の呼吸の仕事ぶりに加え、取材を命ずる新任局長や上司、協力する弁護士など、とにかく周囲の人物描写も秀逸。アカデミー作品賞も納得の良作だった。
このチームの取材で、真実が明らかになるにつれ事の重大性に気づき、その隠蔽された過去への怒り、真実を公表する使命感へと周囲も巻き込みながら熱を帯びて行く様が、サスペンス的な緊張感とともに描写されるのが非常に気持ち良かった。
特に封印されていた重要な文書の公表を「これを報道して誰が責任をとるんだ?」と問う判事に「では報道しなかったら誰が責任を?」と返すレゼンデスのシーンなどほんと痺れたなあ。
9.11の同時多発テロで中断しても尚、きっちりと報道する姿勢。加えて実はこの情報をもっと前に知らされていたのに「誰も重要性に気付かず調べようとしなかった」という自分たちの反省もしっかり踏まえて、それでも前に進むこういうアメリカのジャーナリズムの良心、その潔さはほんと頭が下がる。
声高に教会を糾弾するのではなく、ましてやピューリッツア賞受賞の華やかさも描くことなく、懸念されていた記事への抗議では無く、被害を受けた人々のやっとあげることができた「声」が次々と寄せられるというラストシーン、彼らの「真実の報道」というさらに続いていく戦いのスタートをさりげなく描写する語り口も凄く良かった。
ラストで問題が波及した都市名が列挙されていたが、その余りの数の多さに驚いた。問題が明らかになった後、被害者への膨大な補償金で破産した教区もあったそうだ。結婚が許されないカトリックの禁欲的な教理がその背景にあるのか、今でも一定数の幼児性愛者がいるという事実の重さ。あれだけの数の被害を2003年のこの記事まで隠蔽し続けることができたことなど、閉鎖された組織の「闇」の根深さを示して余りあると思う。カルトでもない超メジャーのカトリックですらこれなのだから、「宗教」というものの難しさを痛感する。
ああ、それにしてもレイチェル・マクアダムス演ずるサーシャの魅力的なこと!ずーっとパンツ姿で色気のかけらもないのに、仕事をしている彼女の美しさったら!わたしゃ惚れたました(笑))。
というわけで連休初日で郡山から福島への道が思いの他大渋滞。普段は1時間足らずで到着するのに1時間半以上かかってギリギリ上映に間に合うとか、何故か帰宅時に腹痛に襲われ道の駅のトイレに駆け込むなどイレギュラーもあったけど(笑)GW1日目から良い映画が見れて良かったす。