キング・コング | B級パラダイス

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ちょっと前に書いた「キングコングの逆襲」に加え、金曜夜のシュガーラッシュのラルフの姿に、本家の「彼」を思い出し、中古屋で500円で売っていたのをすかさず確保しておいた、3枚組のデラックス・エクステンデッド版を取り出した。

キング・コング (2005) KING KONG

製作・監督・脚本:ピーター・ジャクソン 製作:ジャン・ブレンキン、キャロリン・カニンガム、フラン・ウォルシュ原案:メリアン・C・クーパー、エドガー・ウォレス  脚本:フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン撮影:アンドリュー・レスニークリーチャーデザイン・ミニチュアデザイン・特殊メイク:リチャード・テイラー視覚効果監修:ジョー・レッテリ  プロダクションデザイン:グラント・メイジャー衣装デザイン:テリー・ライアン  編集:ジェイミー・セルカーク  音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:オミ・ワッツ、エイドリアン・ブロディ、ジャック・ブラック、トーマス・クレッチマン、コリン・ハンクス、ジェイミー・ベル、エヴァン・パーク、カイル・チャンドラー、アンディ・サーキス

もう10年以上前の公開だったんすね。ピージャクが一度は頓挫したリメイクを、LOTRが大ヒット、アカデミー賞まで獲って誰にも文句言われずにやっと念願かなって実現させた1本。
なるほど、映画少年の夢がこれでもかと詰め込まれた大作であると同時に、33年のオリジナル映画への愛情がほとばしった、愛すべき1品だったなあ。

何度も書いているが「怪獣」大好きな俺は、1976年のラウンティス版「キングコング」公開時、中学生だったのだが「実物大のロボットで作ったらしい」という話題に飛びついて観に行ったものの、明らかにロボットと解るシーンでは動きがぎこちなく(笑)、表情豊かだったり、迫力あるシーンはさすがに「これはロボットじゃないよなあ」と思っていたら、案の定着ぐるみだったわけで。当時若手のリック・ベイカーが自作自演した着ぐるみの出来が良かったのだと後から得心したものだった。

あの頃から特撮はVFXに進化し、ジュラシック・パーク以降のCGの発達はこれまた凄くて、もう10年前にはこのレベルだったんだなあと、改めて感心。

正直怪獣は好きでもコング自体にはそれほど思い入れは無いのだが、76年版には無かった髑髏島のロストワールド状態が、後から観た33年版にはしっかりと描写されていて、76年版より興奮したのを覚えているのだ。

今作は忠実なリメイクということで、そのシークエンスがどう料理されているかと期待したら、これはもうゲップが出るくらいの大サービス(笑)。オリジナルで出てきたステゴザウルスとプテラノドンはいなかったけど、水の中の生物やらコウモリやら蟲の類までどれも巨大かつ凶暴にアップデートされての大挙出演で、俺は大満足なのであった(笑)。
そして宿敵T-Rexとのバトル!オリジナルはこんな具合だったけど、今回も「出ていくなら勝手に行け」とばかりにヒロイン=アンを突き放しておきながら、ピンチには「俺の女にちょっかい出すな」と駆けつけるコングの男っぷりはなかなかでしたな。
この構図の後に、あと2匹も出てきて1対3の変則マッチになるもコング強し、何とか勝ってアンも「頼りになる男」の元に戻っていくのである。

アン・ダロウ役のナオミ・ワッツがもう最高。76年のジェシカ・ラングの露出、中学生をモゾモゾさせたそこはかとないエロさ加減は少ないながら、「ほらほら拗ねていないで」とばかりにコングの前で演じるボードヴィルも楽しく、スカル島の夕焼けの美しさを一緒に眺めるところなど、本当に美しくも「純」な姿にはコングでなくとも惚れますがな。

アンに惚れたコングがだんだん「でかいゴリラ」から「漢」に見えていくのも良い感じ。会いたくて会いたくて、NY中探して(まあえらい大迷惑ではあるのだが)、やっと会えたアンとの、本当に短い氷の上での2人だけの時間など微笑ましいくらいで。
あの表情はモーションキャプチャーのおかげなんでしょかね?そんな技術的なことはどうでも良いくらい、イイ顔してましたな。

まあ難点を言えばDVDも2枚組という長さで、特に髑髏島に着くまでが長いのだけど、失業した女優アン・ダロウとジャック・ブラック演じる映画監督カール・デナムの野心と偏執狂的な映画愛が交差するNYのシーンも嫌いじゃないし、エイドリアン・ブロディ演じる脚本家と出会う船上、そのクルーの描写ももっとあってもいいくらいで、長いけど描写も再現した30年代の風景も悪くないんだよなあ。ちなみに76年版にはあった「コング輸送」のシークエンスがまったく無かったのはちょっとビックリだったけど、オリジナルにも無かったようで。

もう一つ好みの問題で言えば「でかいゴリラ」じゃなく、「コング」としてもう少し別のデザイン(頭がもう少し小さくて人間の比率に近いとか)であって欲しかった気はするけど、それでも最後の最後まで「漢」として、愛する人を守り抜いて死んでいく姿は、オリジナルからこっち、何度リメイクされてもおっさんはグッとするのだった(笑)。

しかしなんだ、このところ長い映画ばかり観ているなあ…(笑)。