金曜はまた仕事で遅くなったけど、今日は休み!家事を済ませて気分転換のレイトショー2Dで鑑賞。深刻な事態なれどユーモアも忘れず逞しくサバイバル、いい映画でした!
オデッセイ (2015) THE MARTIAN
製作・監督:リドリー・スコット製作:サイモン・キンバーグ、マイケル・シェイファー、アディッティア・スード、マーク・ハッファム 原作:アンディ・ウィアー『火星の人』(早川書房刊) 脚本:ドリュー・ゴダード 撮影:ダリウス・ウォルスキー 編集:ピエトロ・スカリア 音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演:マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、クリステン・ウィグ、ジェフ・ダニエルズ、マイケル・ペーニャ、ケイト・マーラ、ショーン・ビーン、セバスチャン・スタン、アクセル・ヘニー、キウェテル・イジョフォー、マッケンジー・デイヴィス、ドナルド・グローヴァー、ベネディクト・ウォン、ニック・モハメッド、チェン・シュー、エディ・コー
「エイリアン」に「ブレードランナー」のリドリー・スコット監督のSF作品とくれば、こりゃ面白さは間違いないという期待に加えて、火星に一人取り残された男の生還へのサバイバル・・・いくらでもシリアスでサスペンスフルなドラマになるところを、思いのほかポジティブに逞しく、何よりユーモアを失わずのサバイバル具合!いやあ、予想と方向は違ったけど面白い1本でした。
酸素はほとんどないわ、水は無いわ、地球からの距離は2億2530万キロの火星で砂嵐にあい、死んだと思われて他のクルーは離脱したのに一人取り残されると言う最悪の事態が最初に示される。しかしマット・ディモンって『プライベート・ライアン』でもそうだけどよく取り残されるなあ(笑)。
居住モジュールのハブに戻れば水も酸素も残りわずか、食料こそ1年分あるけど、NASAの次のミッションで火星探査に来るのは4年後。しかも死んだと思われてるし、通信手段はないしだなんて絶望的な状況。俺なら間違いなく最初に怪我した時点からずーっと泣いてるわ(笑)。
にもかかわらず、とにかく明るいマーク・ワトニー(笑)。「安心してください」ってなもんで、ロケット燃料の水素を燃やして水を作るとか、食糧確保にジャガイモを排泄物で有機栽培しちゃうとか、昔の探査機探して地球との通信手段を考えるとか、とにかく逞しい。
知恵と勇気、何より知識がハンパない。人間勉強してないと生き残れないってのがよくわかりました(笑)。それらを軽口叩きながら試みる姿がいいんだなあ。原作でもこのユーモアがあるらしいすね。
もっとも過酷というよりもはや絶体絶命なのに悲壮感がないのは、マークに恋人とか子どもなど守るべき家族がいないからかな・・・とかは思いました。親のことは言及されていたけど、彼が泣いたりわめいたりがほとんどないのは、この「一人」ってのも大きいかも。
でも宇宙飛行士になる人って、やはり精神的にタフでパニックにならない人らしく、マークみたいに冷静に一つ一つ問題をクリアしていく強靭な精神と知恵がないと選ばれないようですな。
科学的なことはわからないけど、とにかくリアリティ溢れていて、一瞬実話の映画化?とか思えてしまうほど。マークの生存を知って救出手段を講じるNASAのスタッフや、判らなかったとは言え、彼も見捨ててしまった形だった他のクルーのマーク救出ミッションへの挑戦。これらのドラマもテンポ良く、140分があっという間でした。
特筆すべきはお気に入りの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』同様に70年代音楽がかかりまくること。これがまた面白くて、火星に置き去りにされたマークの気持ちそのままのセルマ・ヒルストン『Don’t Leave Me This Way』や、ドナ・サマー『ホットスタッフ』など、船長が持ち込んでそのまま残されている音楽という設定が効いていました。まあ女船長役のジェシカ・チャステインがこの70年代ディスコ好きっていう感じじゃないのは確かなんですが(笑)。
その他にもNASAが補給物資ロケットを発射させようと準備するところでデビッド・ボウイ『スターマン』がかかったり、最後がグロリア・ゲイナーの『恋のサバイバル』こと『I Will Survive』なんてのも最高でしたなあ。
ひとつだけ気に入らなかったのが、最近の「中国資本のハリウッドへの影響」なのか、ちょっと唐突に中国さまさまのシーンがあるところ。ポスターキャッチの通り「70億人が、彼の還りを待っている」描写が少ないだけに、妙に気になっちゃったのはマイナスでしたな。
あと、邦題の「オデッセイ」は、気持ちはわかるけどちょっと大上段過ぎ。「2001年宇宙の旅」の原題を思い出しちゃうし。ここは原作及び原題通り「THE MARTIAN(火星の人)」で良かったのでは?
とは言え何だか元気になれる映画であるのは間違いなし。ぜんぜん暗くならず、でもお気楽と言う訳ではない、その逞しさを見習いたくなる1本でした。