情無用のコルト(1966) ALL'OMBRA DI UNA COLT
監督・原案:ジャンニ・グリマルディ 脚本:アルド・バルニ、アルド・ルクサンド 撮影:フリオ・オルタス・プラサ 音楽:ニコ・フィデンコ
出演:スティーヴン・フォーサイス、コンラード・サンマルティン、フランク・レッセル、アンヌ・シャーマン・ヘルガ・リネ、フランキー・リストン、ペペ・カルヴォ
流れ者のガンマンのスティーブと相棒の初老のガンマン、デューク。
若いスティーブはガンマン稼業から足を洗い、恋人のスーザンと結婚して堅気の暮らしを計画している。しかしそのスーザンは相棒デュークの娘。ガンマン稼業を捨てきれなかったデュークからは「銃を捨てられる訳がない。娘に手を出したら許さない」と釘を刺されている。
村を襲う盗賊団を仕留める2人だったが、デュークは怪我をしてしまう。デュークと別れたスティーブはスーザンを連れて新しい町に着くが、そこはジャクソンとバーンズという2人の実力者に牛耳られていた。
ようやく見つけた牧場を買えることになり、拳銃とガンベルトを「もう必要ない」と地面に埋めるスティーブ。しかしジャクソンとバーンズに売主の牧場主は殺され、スティーブの購入資金も奪われてしまう。
しかも町にはデュークもやってくる。彼はスティーブがスーザンを許しも得ず連れていったのみならず、自分の取り分の金も奪っていったと勘違いしていて、決闘を申し込んでくるのだった・・・。
まさに「イタリア製西部劇」という表現がピッタリ。俺の好きな、主人公も含めて悪人が大暴れする"マカロニウエスタン"ではなく、正統のアメリカ西部劇にもありそうな物語だ。
「マカロニウエスタン」っぽくないのは2人が髭面ではなく、ピシッとスーツを着ているところも大きい。
故に観だした直後は「この小奇麗さはちょっとダメかもなあ・・・」と、思いきや、すこぶる面白い作品であった。
流れ者が真っ当な生活を得ようとするのに、様々な邪魔が入り、ついに自ら課した禁を破って悪に立ち向かうなんてのは、昔の日活映画や東映任侠ものにも近いかも(笑)。
敵である悪役ジャクソンとバーンズなんかはマカロニっぽい悪辣さだし、デュークを騙して焚きつける情婦の悪女っぷりもなかなかでこの辺りはマカロニらしく魅力的なのは確かだ。
町を牛耳る2人に真っ当に対抗するスティーブを応援し、2人に反旗を翻す保安官もいい感じ。演ずるペペ・カルヴォはどっかで観た顔だなあと思っていたら「荒野の用心棒」でイーストウッドに協力する酒場のおっさんだった。
この悪との対決もさることながら、スティーブとデュークの2人のドラマがまたいいのだ。
何より男気溢れるのがラストの決闘。相棒であり、愛するスーザンの父親であるデュークに銃を向けたくないスティーブが、掘り出し再び手にした銃。その銃にしたことの意味。
そして対峙する2人が言葉を交わすことなく、共通の敵を倒していく様のカッコいいこと!
2人のスピーディでキビキビしたガンファイト、シャープな編集にはちょいと痺れますぜ。
音楽だけは以前から知っていたけど、初期必殺シリーズのBGM的な調べに「語り」が入るのが珍しいパターン。熱く燃えるのではなく、哀愁いっぱいなのだ。
ラスト、スティーブが自らに向けるはずだった銃を使わなかった理由を知り、駆けつけたスーザンがスティーブの無事を喜ぶ姿に、若い2人に声をかけることも無く去っていくデュークの心情のように初老のガンマンの悲哀と重なるのである。
ああ、娘を持つと、こういうラストは染みるなあ・・・(笑)
という訳でこれも題名に偽りありで、「情無用」どころか情感いっぱい、しかもクールなガンファイトとドラマが堪能できるという、期待していなかったので物凄いお得感のある1本でありました(笑)。
ああ、娘を持つと、こういうラストは染みるなあ・・・(笑)
という訳でこれも題名に偽りありで、「情無用」どころか情感いっぱい、しかもクールなガンファイトとドラマが堪能できるという、期待していなかったので物凄いお得感のある1本でありました(笑)。