さらば、原田芳雄 | B級パラダイス

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健康優良不良中年が、映画、音楽、読書他好きなことを気まぐれに狭く深くいい加減に語り倒すブログであります。

少し前の児玉清、外国ではコロンボのピーター・フォーク、
必殺シリーズを多く撮り、映画本編も監督された貞永方久監督、そして一昨日の元XのTAIJIと、
若いころから親しんできた方々の訃報が続くなあと寂しい気持ちでいたのだが
よりによって原田芳雄が亡くなってしまうなんて・・・。

結果的に最後になってしまった主演映画の「大鹿村騒動記」の試写会に登場した時の、
そのあまりに痩せた車椅子での姿にショックを受けたが
まさかこんなに早く逝ってしまうとは・・・言葉もない。

実は代表作をいくつも見逃しているし、一挙手一投足が全部好きというほど熱心なファンではなかったが
彼の姿が画面に映っていれば観入ってしまう、敬愛する俳優さんであった。

テアトル吉祥寺のオールナイト4本立ての中で観た「竜馬暗殺」。
魅力的なキャストと設定に、かみさんと観に行った「浪人街」。
テレビだって西部警察の最終回でのテロリスト役なんかも最高だったな。

無頼なアウトローを演じながらも、決してスーパーヒーローにならない。
弱さもずるさも併せ持つ人間味豊かな、けれど芯の通った「漢」の姿をスクリーンで見せてくれた。

そしてアクションなど皆無の映画で脇に回っても「昭和歌謡大全集」などの怪しい親父など、
飄々として、でも喰わせ者の役をやらせたら天下一品だった。

タモリ倶楽部での意外なほどの鉄っちゃんぶりには笑わせててもらったが
あれ以来我が家では「芳雄ちゃん」と呼び方が変わったものだった。

そして俳優としてもこれ以上ないくらい魅力的だったが
ロック、ブルーズシンガーとしても本当にカッコよかったのだ。

「身も心も」に匹敵する「ブルースで死にな」や「I Saw Blues 」「Lazy Lady Blues」など
竜童=阿木耀子作品のドロっとしたブルーズは、ちょっと甲高いシャウトと渋い彼の声にぴったりだった。

隠れた名曲「石榴」


そしてエディ藩の名曲のカバーもいいのだ。松田優作も歌っていたんだよな。

その昔、原田芳雄のライブステージがラジオで放送された。
ゲストで松田優作が呼ばれ、一緒に歌うのだが、間奏後の「革ジャン羽織って」の出だしを間違えるというレアな音源だった。
エアチェックしたそのテープは未だに捨てられないのだ。

そうか、天国では原田芳雄を慕っていた優作が
先に行ってるんだよなあ。
2人でどんな会話をしているのだろうか。

ちなみにこのブログ「B級パラダイス」というタイトルは
宇崎竜童の曲が元ネタなんだが(詳しくは「はじめに」の「B級パラダイスは続く」参照)
芳雄ちゃんも歌っていたこの曲、こんな歌詞、まさに芳雄ちゃんの生き方みたいじゃないか。
彼自身も気にいっていたのだろう。彼のエッセイのタイトルにもなっていたのだった。
俺はそれを知らずにこのブログをスタートしていたので、あとから知って恐縮しちゃったが
好きなものは好き、俺も大好きなこの曲のタイトルは大切に拝借し続けていこうと思う。

あーあ、それにしても早すぎるよ、芳雄ちゃん。
ほんとに・・・寂しいな・・・。堪らんです。