おとーさんはやるのだ「グエムル -漢江の怪物-」 | B級パラダイス

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グエムル -漢江の怪物-(2006)

監督:ポン・ジュノ 
出演:ソン・ガンホ, ピョン・ヒボン, パク・ヘイル, ペ・ドゥナ,コ・アソン


実は見ていない映画をそーっと見ておこうプロジェクト第3弾は「グエムル-漢江の怪物-」だ!
白状するとTVでやってた「シルミド」以来の韓流映画、

しかも吹き替えじゃなくきちんと原語で見たのは初めてなのだ(笑)。

「オールドボーイ」とか「親切なクムジャさん」や、

同じポン・ジュノ監督の「殺人の記憶」など気になってた映画は他にもあるけど、

ここは怪獣同盟としては韓国映画もやはりこれから始めねばなるまい。

(ヤンガリーとかプルサガリとかマニアックなこと言わないように(笑))

 

この映画、面白かったんだけどね。しかし、なんというかてんこ盛りといえばてんこ盛り、

オフビートと言えばオフビート、変な怪獣映画だったなあ。

大体怪獣映画ってのは・・・謎の事件、被害者・・・人間の仕業じゃないのか?

・・・チラリチラリ見えるその「何か」の描写・・・そしてクライマックス、なんだ?こ、これは!?

うわあ!出たあ!ってもったいぶって怪獣が全容を現すのが王道なのに(笑)

この怪物、最初から全身さらけだして平和な日常をあっという間にぶっ壊していきます。

 

休日の昼間を楽しむ川のほとりがパニックになるこの冒頭シーンはほんと最高。

遠くの方で呆然とみている人がいたり、遠巻きに見ていて向かってくるとなると

蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う群集が、怪獣の中途半端な巨大さと相俟って非常にリアル。

昼日中ってのが返って怖いシーンでした。
ただ、怪獣大暴れってのはここだけで、他にも怪獣映画の作劇とは大きくかけ離れ

軍隊も警察も活躍しなければ、怪獣の弱点を講釈する博士もいないから

当然ヒロイックな主人公もいないという寸法。

怪獣と闘うのは最底辺ともいえる下層階級の生活感溢れる一家だもんなあ。

 

川のほとりで売店開くじいさんと、女房に逃げられ店番もできないごくつぶし長男、

活動家上がりの次男に、アーチェリーオリンピック候補の長女(ずーっとジャージ姿ながらいい面してるんだよ)。

彼らが突然現れた怪物にさらわれた長男の娘を捜すのがストーリーなんだけど、

「ウィルス感染」なんてのが絡むから、彼らは国家からも感染者として追いまくられ、

娘の生存も信じてもらえない(まあ、ごくつぶしソン・ガンホが間抜けなせいもあるんだが・・・笑)。

その中で娘(孫・姪でもある)の無事を信じ、彼らのみで果敢に立ち向かっていくのです。

 

しかし、果敢とはいえ傍から見れば無謀な作戦ばかりで・・・。

加えてこれが「家族愛」に裏打ちされてるから、「おいおい」と思いながらも

なんか応援したくなっちゃうってのが妙な感触でした。

でも正直言うとこいつら泣かせてくれるんだけどね(笑)

・・・だって娘を持つ身としては、そりゃ可愛い娘が怪物にさらわれたら、

バカ扱いされても、無茶でも、そりゃやるよなーってシンパシービシバシでありました。


ラストは意外な展開で、まあ怪獣は退治されるのだけど、

怪獣より蛭子能一に見えてしょうがなかったソン・ガンホのマヌケ面の方が印象深いという

一筋縄ではいかぬ怪獣映画でありました。


でもなあ、冒頭のあの勢いで市民対怪獣の図式のままでいいから反米反権力ってのは隠し味にして、

もっと大攻防戦やって欲しかったなあっていう気分はぬぐえませんわ。

俺的にはまだ「ザ・グリード」のほうが上だな(笑)