寂しいこと | B級パラダイス

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健康優良不良中年が、映画、音楽、読書他好きなことを気まぐれに狭く深くいい加減に語り倒すブログであります。

最近我が街で二つ閉じてしまったことがある。
一つはメインで利用してはいなかったけれど
男気音楽に嵌っていたときに大いに役立ってくれたレンタル屋。
チェーン店でもない個人企業で、確か経営者は御袋の同級生だったはず。
以前は映画のビデオを借りたこともあったけど、料金も高めであまり利用はしなかった。
ビデオからDVDへの移行がスムーズじゃなかった店舗故に
新作の品揃えは今一つながら、おお、こんなものまで!という古いビデオがたくさんあった。

それ以上に役にたったのはCDの方。
前述の通り、80年代から90年代くらいにCD化されたアルバムがたくさんあったのだ。
その時代から店舗を始めていたんだろうなと思う。
友達のRowdyさんも驚いていたサンハウスの1st、2ndなんかも置いてあったし
THE MODSも1stから5thくらいまですべてあったしARBや甲斐バンドも初期のアルバム全部あった。
(しかしその分最近のアルバムはフォローできてなかったりしていたんだが(笑))
カルメン・マキ&OZの1st、2ndのみならず、カーマインアピスと組んだソロや
カルメン・マキ&LAFFまであったしなあ。
まだまだ借りておこうかなっていうアルバムもいっぱいあったのに
先週前を通ったら空っぽになっていた。

あんなにたくさんあった商品は多少はセールでもしたんだろうか。
あれだけ古いCDはもうジャンク処理されちゃうのだろうか?
再販してないのもたくさんあったろうに・・・
閉まるなら閉まるでもっと先に知っておきたかった。

何にせよ最近TSU●AYAだけじゃなくG●Oなんていう
強力なチェーン店が近所にオープンしたばかりだったからもう商売にならなかったのだろう。
俺くらいしか喜ばない商品がたくさんあって、新作が少ないのでは
今のニーズに応えているとはとても思えないしな・・・しかし残念至極だ。

もう一つ残念だったのは、市内で唯一残っていた映画館が閉まってしまったこと。
正直最近はアニメ映画ばかりで、もうあまり足も運ばなかったが
大正時代の芝居小屋のころから始めて90年以上の歴史を閉じてしまったのは本当に残念だ。

この映画館の経営者は山田洋次監督とも懇意で、今週のラスト上映にも来てくださったようだ。
その関係で「男はつらいよ 噂の寅次郎」もロケにきたし
監督の「虹をつかむ男」の主人公の映画館館主のモデルにもなっていたのだった。
最近だとそのレトロな作りが映画のロケにも使用されたりしていた歴史ある映画館も
耐震構造にリフォームする資金もなく、何より昨年隣町にできたシネコンの影響で
閉館の決断となったとのこと。

俺がガキのころはゴジラ映画といえばここ!の映画館だった。
夏も冬も「東宝チャンピオンまつり」を観に弁当持って行ったんだった。
初めて自分の意思で洋画を観たのもここだった。
「海底二万哩」と「深海征服」そして「吸血鬼サーカス団」の3本立てだった。
「ヘルハウス」と「未来惑星ザルドス」二本立てもここで観たぞ。
中学の時以降はもうひとつの洋画専門館が観に行く中心になったが
リバイバルの「七人の侍」をはここで観て興奮して帰ったのを覚えている。

娘たちが初めて映画館に入ったのもここだった。
俺自身も田舎にUターンして3年ぶりに入った映画館だった。
「ポケモン劇場版 ミューツーの逆襲」だったかな。
音の大きさに耳をふさぎ、予告編のハリウッド版「GODZILA」にビビッて
俺にしがみついてきた娘たちもあれから10年たって大きくなっちまった。

そしてその映画館、「みのる座」は閉じてしまった。
レンタル屋が利用できなくなったのも寂しいが、
いつまでもあると思った「みのる座」が閉まってしまったのは本当に寂しい。

こざかしいチェーンのレンタル屋にゃ俺が観たいもの聴きたいものなんて殆ど置いてやしない。
入れ替え制のすましたシネコンなんか俺の好きな映画なんて滅多にかからない。
映画館で暮らしたいと考えていた中学の時。
その時に思い浮かべたのは今みたいな小奇麗な映画館じゃなかったのだ。
こうして俺みたいな偏屈な年寄りは行く場所が無くなっていくんだろうな。

都会の人には解りづらいだろうが選択の余地のない最大公約数の「商品」しか提供できない
「地方の娯楽文化」ってやつは、もうほんと、哀しくなってしまうよ。
そんなことを考えた寂しい一週間でありました。