被害者は泣き寝入りの理不尽「39刑法三十九条」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

先日の名古屋での「凶行」の内容が明らかになれば、老齢の犠牲者というだけでなく、加

害者の「心神喪失」気味な言動に、「実刑」のない刑法三十九条の条文が頭にちらつき、

ここでもまた全く瑕疵のない人物が、代償もなく「殺されねばならない」の理不尽に、憂鬱

になる。


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5日午前7時55分ごろ、名古屋市中区金山の市営地下鉄金山駅構内の女子トイレと付近

の通路で、同市港区辰巳町の無職、奥田トシさん(81)が包丁を持った女に背中などを刺

された。地下鉄の男性車掌(34)が女を取り押さえ、奥田さんは病院へ搬送されたが、出

血性ショックで間もなく死亡した。
愛知県警中署は同日夜、女を殺人容疑で逮捕。
調べに対し、意味不明なことを話しているといい、同署は刑事責任能力の有無を慎重に調

べる。
逮捕されたのは同県春日井市の職業不詳の女(23)。容疑は同駅地下1階のトイレや通

路で数回にわたり、奥田さんの背中や頭、左腕を出刃包丁(刃渡り16センチ)で刺して殺

害したとしている。遺体の傷は計約40カ所。
中署によると、女は「私がやったことに間違いはない。刃物でおばあさんを殺しました」と話

す一方、「私は今日、父から生まれた。名前はない」などと意味の分からないことを言って

いるという。
中署や金山駅によると、車掌が「きゃー」という悲鳴を聞き、最初の現場とみられるトイレか

ら飛び出した奥田さんと女を発見。女は奇声を上げながら奥田さんを追い、座り込んだ奥

田さんを何度も刺した。車掌はトイレの北約15メートルの改札の外で女を取り押さえた。
女は両親と別居して1人暮らし。両親は中署に「娘は統合失調症で病院に通っていた」と

話しているという。女も左手の指に軽傷。
駅員の三井敏矢さん(25)によると、現場に駆けつけた際、奥田さんは血まみれでうつぶ

せに倒れていた。女は力が抜けて立つこともできない状態だった。また男子トイレにいた

男性(51)は隣の女子トイレから4回、女性の悲鳴を聞き、外に出ると床やスロープに血

痕が落ちていた。男性は「普段からよく利用する駅なので怖かった」と話した。
金山駅はJRと名古屋鉄道も乗り入れるターミナル駅。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100906k0000m040053000c.html

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報道のいい加減さは、抗議の少ないと思われる「被害者」あるいは「加害者」については

簡単に「実名報道」を行うが、どこぞの「喚き散らされる」団体が背後にいれば、とたんに

代名詞へと取って代わり、一過性の事件として、その後の報道も適当にその量的に人の

に触れることが少なくなり、社会的正義は報道機関の「編集権」とやらで、恣意的なものに

なって来る。

そして自主規制と言いつつ、「言葉狩り」の目立つ異常さもあってどんどんいびつな報道

となり、この犯人の実名は語られるものか・・・。

それでなくとも精神異常を鑑定する精神科医の程度の問題が、向精神薬の生活保護の

「医療費無料」で横流し的増大に、精神病を簡単に増大させている側面もあり、程度問題

で「精神喪失」が認定され、被害者の遺族の憤りは、見放されていく実態がある。

そんな明治時代の「刑法」基準が、今でも真実を隠してしまう側面のマイナスを改善できて

いない。

その矛盾に、それなりの問題提起を持って作られたのが、「39 刑法三十九条」である。



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「39 刑法三十九条」 九十九年公開作


夫婦惨殺事件が起こり、その犯人が捕まるが弁護側の要求で「精神鑑定」が

行われ、鑑定が「心神喪失」となれば、無罪、様は罪に問えないとなる刑法の規定

を逆手にとって、二重人格、あるいは精神異常を装う犯人と、異常に職業意識のあ

る鑑定人の法廷サスペンスものとなって、派手なものもなく淡々と暗い雰囲気が多

い尽くし、緊迫感を演出してじっくり見てる。

もっとも余計なカットなどもたぶんにあって、過剰な演出にイラっとしてしまう場面も

あるが、犯人役の堤真一の過去へと及んだ時には、同じ刑法の適用での無念さが

より被害者の遺族のやるせなさを際立たせて、この条文の矛盾に釘をさす役目を

持たせている・・・。

で、精神異常での犯行での刑法の理不尽については、これをさかのぼること三十年

前にも、ドラマとして問題提起しているものがあった。

それが「怪奇大作戦」であり、テレビが良質な媒体であった時代のものである。



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http://zoome.jp/edymax/diary/244

「欠番シリーズ」


この第二十四話に、「精神異常を装った殺人」を題材にして、「狂鬼人間」と銘打った

ものが放送された。

上の作品のヒントともなったと思われるが、こちらは刑事が「無罪になった犯人」に疑問を

持ち、その後を追ってのものと少し話は製作した円谷プロらしく、そこに機械開発して似非

狂人を作り上げる「極悪人」を登場させているが、その人物にしても刑法の条文の不合理

を突く「機械による狂人生産」、そして二ヶ月もすれば精神鑑定が「完治」とみなされて・・・。

と、相当に今では考えられない社会派の問題提議を製作していた。

もっとも、この作品は「自主規制」の犠牲からか、今ではこのシリーズでも欠番の憂き目で

見ることは出来ない。

二三年前では、よーつべにも投稿されていたのだが、いまではすっかりこの「怪奇大作戦」

ものは、姿を消している。

この刑事役に岸田森が異様な情熱で熱演し、追い詰められた犯人によって、その精神異常

の機械で「狂人」にされてしまい、錯乱した状態で拳銃をぶっ放すと、その演技は熱のこもった

ものとなっていた・・・。

もっとも幼少の頃であり、出だしの狂人の女の異様さと、そのけたたましい笑い声がどんな

怖い映画よりも「怖さ」を感じさせてくれたが・・・。


この名古屋の事件も「意味不明な言動」を見る限り、公判では「精神鑑定」として、被害者の

理不尽な死は、報われることなく・・・。


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                         といったところで、またのお越しを・・・。