無国籍ホラー風味なスキヤキウェスタン「ジャンゴ」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

何々らしさとか良く耳にするのだが、そこに実際のカラーを納得させるものもあれば、
以下のような言葉だけの「らしさ」には、空虚な思いが漂っているようで、決断とか
リーダーシップとかの気迫がぜんぜん伝わってこない・・・。
これではいくら言葉を並べようが、承諾を得られる、まして行動が伴わないと
「お前が言うな」と、言い返されそう・・・。

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★「内閣改造の発想ない」 支持率3割台突入で首相 打開策にも言及

・鳩山由紀夫首相は8日朝、報道各社の世論調査で内閣支持率が下落し、3割台に
 突入したことについて、政治とカネの問題を念頭に「せっかく政権交代したのに
 民主党らしさが見えず、前(の政権)と変わらないとの思いが国民の中に広がっている。
 批判を正面から受け止め、打開策を考えていく必要がある」と述べた。政権浮揚の
 ための内閣改造の可能については「今、内閣改造をするという発想を持っている
 わけではない」と否定した。首相公邸前で記者団に答えた。
 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100308/plc1003081009005-n1.htm

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最初から末期的症状が、いよいよマスコミの擁護より国民目線が厳しくなって、
空中分解寸前で、出る言葉が「民主党らしさ」と聞けば、さてカラーをお出しだったのは
選挙前の「バラ色の幻想」で、それからはローリング・ストーンよろしく、坂道を転げ落ち
ていくだけの、そしてそれに付随して「民主党的集票」として、「恫喝」を織り交ぜた「選挙
対策」くらいしか、そのカラーは「田んぼのポスター」並みに、色褪せてしまったと思うが。
で、この「らしさ」という語句で、下書きしたままのものが、日の目を見た。
スキヤキウェスタンと銘打った「ジャンゴ」である。
この民主党と同じように、らしさを求めてしまうと、はて・・・。

その昔、無国籍映画を得意としていた制作会社にスキヤキウェスタンを撮らせれば、
また違った風味にはなったのではないかと思える、惜しい、今市、と少しばかり
がっかりさせられたのが、この映画である。


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http://www.youtube.com/watch?v=QY3vgUtoSL8

「スキヤキウェスタン ジャンゴ」 〇七年公開作

あの「続・荒野の用心棒」のトリビュート作品と思えるのだが、
如何せんそこに「土台」をどこに求めたかの「らしさ」が失われているから
「ごった煮の闇鍋」という、香港の得意なもののテイストしか感じられない。
物語は「サルカニ源平合戦」よろしく、際立つ対立軸があるのにも関わらず
そこに流れ着く「主人公」の影の薄さが散漫な印象を与える。
ここらで、もう半分諦めが先にたち、ホラー風味はいいとしても、もう少し
練りこんだ脚本と、配役をと見ているのか批評しているのか分からなく
なってしまった。
ただそんなテイストの中、木村佳乃と桃井かおりの存在感は流石で、
とっちかといえば、こっちをメインに据えた「女ウェスタン」にした方が、
トリビュートした作品の雰囲気に近いものが出来たのではないか・・・。
と、思えてしまうし、長さもテンポを気にかければ、要らない場面も多々あって
勧善懲悪な物語と任侠という風味は失われてしまった。
まぁ、無国籍風味は背景やら人物で出ているのだが、如何せん配役の人々が奇をて
へらっても悪党に見えないのは、なんとも・・・。フリークスかと思えてしまって
はやはりホラーの風味が色濃く滲んでしまう。
まぁ、こんなものなのだろうなぁ・・・、の感想と、主題を失った作品の娯楽性は
「見る人をがっかりさせる」を認識した・・・。
四十年前の映画と比べて、映画はアイデアが枯渇してしまったのか・・・。
で、思い出したのが「マカロニ・ウェスタン」が華やかし頃、東宝が無理して
作った作品、「野獣暁に死す」だ。



流浪の民の囁き

http://www.youtube.com/watch?v=Jvh38Rx366M

「野獣 暁に死す」 六十八年公開作

仲代達也が悪党を演じるこの作品は、イタリアと日本でのロケがごちゃ混ぜ
になっているかの、全く盛り上がりにも欠けるし、何よりマカロニ・ティストから
すると、最後の場面には「やっつけ仕事」としか思えない駄目振りである。
・・・、と、もう感想もいいか・・・。
「らしさ」というキーワードからすれば、間違って題名だけで来場した人の
怒りを買うだけの作品とでもいえばいいか・・・。
映画館を出て、ため息をつく娯楽作品ではある。





「スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ」主題歌





「続・荒野の用心棒」主題歌


トリビュートするなら、遊びは控えて「らしさ」を存分に出して貰いたいものである。
その「らしさ」というものが、パクリや真似でなければ、このマカロニの世界に時代劇
と仁侠映画の風味が滲んでいるのは分かりそうなものである・・・。
さすれば、その日本らしさをトリビユートしたイタリアに軍配が上がっては、如何せん
先人の苦労を無にしてしまう。
それと同じことが、無駄な言葉とイラつく行動を取る「ボンクラ」にも当てはまる。
なんとも「無味無臭」の空気より軽い存在感では・・・。


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                といったところで、またのお越しを・・・。