これまでマスコミの真贋を誤った報道として「靴をなくした天使」を、そしてバラエティー番組
に視聴率至上主義から、聡明で博学であるクイズ王を作り出してしまう良心のないマスコミ
批判を静かに訴えた「クイズショー」と書いてきたが、一方は人命救助、一方はバラエティー
番組の捏造と、どちらというと善良な人を扱ったものだったが、この「マッドシティ」はそれらと
毛色が違い、犯罪を犯した男が、いつしか報道に取上げられ、知れ渡る毎にどんどん追い詰
められ、最後には自殺を図ってしまうと、早期において投降や自首を勧めるべき事柄を功利的
思惑のために、その道を塞ぎながらそれでも人間的欠落した報道に血道になる浅ましさを描い
ていて、さて報道とは何を伝えるべきかを考えさせる映画である。
http://jp.youtube.com/watch?v=OsVs0orc5PU&feature=related
「マッドシティ」 九十七年公開作
「靴をなくした天使」ではドジだが人間味溢れるこそ泥を演じていたダスティン・ホフマンが、
今度は功利的野心でたまたま出くわした事件現場に、小躍りして報道をするテレビレポーター
役で、首を言い渡されてそれに不満をぶつけるだけの犯人にジョン・トラボルタと、なかなかに
面白い設定になっていて、大それたことを瞬間の激情で犯した小市民と野心満々なレポーター
と、この小市民がどんどん報道によって追い詰められていくさまを見るにつけ、報道の持つ公平
性は忘れ去られ、あるのは加害・被害に拘わらぬ伝える側の、功利的思惑とそれに熱狂してしま
う「覗き趣味」の世論と、ご多忙に漏れず日本のマスコミの縮図がここに描かれている。
これまでも「立てこもり事件」でも、そして「災害報道」でも先を争って映像に収めようと、警察の迷
惑、救助隊の迷惑を顧みず、伝える映像に価値があるとでも言うように、無反省に垂れ流し、視聴
者にとってマスコミの無軌道な姿勢に、批判も沸き起こってしまう。
この映画も最後に「自殺」する犯人に対して、似非な人道主義みたいに「彼を死なせたのは我々だ」
なんて偽善的科白を用意して、流石にアメリカはと思うが、なんとも後味の悪い映画になった。
と、これに似て、報道する側の予断で親しくなり、映像にしたためて逮捕後、放送するという一見捜査
協力だが、相手が知的障害者となると・・・。
そんなものが、下のリンク先のもの。
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http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1199096.html
「痛いニュース」 東京放送記者、加害者とカラオケ
TBS女性記者が勝木容疑者とカラオケ密着
取材→勝木「彼女ができた」と周囲に勘違い報告?…ネットで話題に
ゆきまろちゃん殺害事件発生
↓
>直接取材していた毎日新聞の女性記者が、現場近くで
>取材をしていると、出会った勝木容疑者が後をつけてくることもあり、
>10月上旬には1日10回以上、無言電話などをかけてきた。
http://mainichi.jp/select/today/archive/news/2008/12/07/20081207k0000m.html
↓
>11月下旬に元同僚の女性に「メル友の彼女ができた」とメールを送っていた
http://www.news24.jp/124640.html
↓
逮捕後
↓
TBSで、女性記者が逮捕前に勝木容疑者に電話でタメ口聞いて取材したり、
カラオケまで一緒に行って撮影したアニソンを歌う勝木容疑者の姿が流される←今ここ
http://jp.youtube.com/watch?v=pQYt9Xs3ZfA
【時系列まとめ】
事件後、
●TBS女性記者、容疑者と一緒にカラオケ。
●毎日新聞女性記者、容疑者と電話でやりとり。
↓その結果
「メル友彼女が出来ました」と周囲の人間に報告。
逮捕後、
●TBSは、カラオケ同行で撮影した犯人映像を、全国のお茶の間に向けてメシウ
●毎日新聞は、犯人と出会ったら後をつけられた、しまいには無言電話までかけ
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- マッド・シティ
- ¥1,890 といったところで、またのお越しを・・・。