松竹映画に「寅さん」あれば、東映映画には「一番星桃次郎」ありと、公開日が重なることが多く、
お笑い対決という側面と、同じ笑いでもほのぼのしたものと、際どい下ネタ満載のお下品を徹底的
笑いに変え、菅原文太のキャラクターイメージもかなり変わった方向で、また長距離トラックという
普段では話題にならない物流の担い手に注目を与えた・・・、もっとも功罪も多少は・・・。
そんな映画が「トラック野郎」シリーズである。
http://jp.youtube.com/watch?v=RefD3ORFXjM&feature=related
「トラック野郎」 七十五年公開作
長距離トラックでも、アメリカの「コンボイ」の壮観だけれどそっけない大きさと違って、
こちらは電飾満載のデコレーション・トラックを駆使してだから、夜ともなるとその派手派手
容姿が、何よりの見ものとなる。
物語自体は、もちろん「寅さん」の騒動設定と同じように主人公とマドンナのあれこれを軸に
して問題勃発、そして相棒の「やもめのジョナサン」等、トラック仲間の手助けもあり、解決
に向かうという、喜劇風味に充ちて観客を笑わせるものだ。
ただ「デコトラ」の愛称が出来上がるきっかけとなるトラック装飾がブームを迎えると、影響は
あり、子供達にもトラック模型が受けると、時ならぬ電飾トラックの脚光が一気に高まった。
そこらに目をつけた東映も「商売上手」だが、このデコトラの「歌麿会」もこの映画には全面協
力と、少なからず影響を与えて、この改造を執り行う工場は大忙し・・・、だが不正改造に対する
警察の見方が厳しくなると・・・。
十作のシリーズで八作目くらいまでは、コメディで押し通していたが、それ以後シリアス
な物語展開が裏目に出て、興行成績の伸び悩みに打ち切りとなったシリーズであった。
ただ「コンボイ」が日本で当たったのは、この「トラック野郎」のヒットがあってという側面は
合ったように思う。
何しろデコトラは「派手派手」のその勇姿には、喝采が送られた時代である。
もっとも松竹の寅さんシリーズに対抗するには、思いつきも底をついた・・・。
東映という映画会社は、何しろこういう「二番煎じ」がお得意で、菅原文太ものでは「仁義なき
戦い」より早く、大映で好評を博していた「悪名」シリーズに似せたものも・・・。
http://jp.youtube.com/watch?v=c66jis0dvUY&feature=related
「まむしの兄弟」 七十一年公開作
大映の「悪名」も兄貴分と弟分の活躍が軸の反骨精神旺盛のヤクザもの
であったが、それに酷似した物語が、この「まむしの兄弟」で、弟分に川路民夫
を迎えて、こちらも反骨だがそこは大概小悪の大悪を懲らしめるという、そして
その暮らしの大半が刑務所暮らしと・・・。
大映ものと大差なく・・・、だけにそれほど印象に残らない物語・・・。
東映の任侠とは違ったチンピラ大活躍と、「悪名」のコンビよりは軽さがあって、
そこらへんに魅力的な欠陥が・・・、ただこれもシリーズ化されているので、それ
なりの観客動員はあったのか・・・、二本立てが主流の時代は、レコードのAB面
と評価がありそうだが・・・、もっとも「仁義なき戦い」のリアルさよりは、こういった
反骨精神が観客の共感するところとなる。弱い庶民の味方的扱いの映画の方が
コミカルで面白いものだ。
- トラック野郎 御意見無用
- ¥4,252 といったところで、またのお越しを・・・。