儚くも他国で没したアメリカ人共産主義者「レッズ」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

思想信条は人それぞれに持ち合わせていて、感化されてその道にまっしぐら

に突き進む人もいる。

そしてそれが大学を出てジャーナリストとなり、共感したのが労働者革命と

してつとに有名になったロシア革命で、その当時の熱き心に触れたアメリカ人

が、母国アメリカでの共産主義を広めようと奮闘する一代記・・・。

結局は祖国に戻ることなく、他国で息を引き取る男の映画が、この「レッズ」で

ある。


reds



http://jp.youtube.com/watch?v=gXZVhKvvMVU&feature=related

「レッズ」 八十一年公開作


主演は「俺達に明日はない」のウォーレン・ビュティーで、実在のジャーナリスト

の波乱に満ちた半生を演じている。

時は千九百十年代、帝政ロシアに起こった労働革命、それも無血による権力委譲

に、労働歌「インターナショナル」と、この時代の労働者の歓喜の雄たけびは映像として

見ている分には、理想的社会構築の一歩を踏み出した・・・。と、素晴らしい業績となるも

のだが、その後権力を掌握した者にとって、今度はこの勢いが邪魔になってくると、時代は

巡り、権力を掌握した者は、思想とかでない欲によって、どんどん強権化していくのは、歴

史の事実だが、この当時を「芝生は緑」と憧れたアメリカ人には理想と映り、それをそのまま

母国にも持ち込もうとする・・・。

しかしここで主人公は労働者をどう理解し、自分が先頭に立てるだけの度量を自分自身に

問い掛けたかは、結局自分が理想として共産主義において、人々に受け入れられないジレンマ

も手伝って再びロシアに渡り、そこで祖国に帰ること亡くなる。

波乱の人生をと書けば、大学を出てジャーナリストとなり、体制に批判的立場から集まる人々も

やはりとなり、のめりこんで行くのだが、大学を出てジャーナリストというステップに、果たして労

働者の境遇が理解出来るのか、はなはだ疑問である。

だからここらに、「世間知らずの頭でっかち」という印象が出来てしまい、見ていてイライラしてしまう

そして相手役のダイアン・キートンが女性解放運動家となるのだが、いくらプライベートで仲が良く

てもこれはミス・キャストではと思う、これが単に恋愛の対象としたなら、プライベートの延長で雰囲気

も良いのだが、アナーキストとは・・・。

この映画で思い出すのは、カフカもので、あの「城」とを比較すれば、あまりにも甘っちろいアメリカン

は、哀れになってくる・・・。

まぁ、それでも寓話として「インターナショナル」を歌い、理想を実現しようとした当時の労働者の歓喜の

表情とかには、その一瞬が結局は「幻」となってしまうものだが、その刹那の人々にとって最良の時間

ではなかったか、あの日大の「日大講堂」での民主化闘争で学校側から言質を取り、狂気乱舞した瞬間

と、その後の政治介入の落差を見る思いだ。

もっともソビエトのその後の「大粛清」や、訳わからない独ソ不可侵条約、日ソ中立条約等、いとも容易く

破棄して、参戦出来る神経は、歓喜に沸いた労働者から上り詰めた人々によってなされたものであると

なると、権力は理想を駆逐するを地で行っている・・・。

だけに、懐古主義的にはこのジャーナリストの理想は、その思いだけは貴重だが、はたしてそれが根付き

組織化された時、「初心を忘れず」が貫けたか・・・。

この映画自体もウォーレン・ビューティの自己満足が、アカデミーに輝いたと・・・。

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Amazon.co.jp                       といったところで、またのお越しを・・・。