戦争に大義なく、あるのは勝ち負けのみ「特攻大作戦」 | 流浪の民の囁き

流浪の民の囁き

映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

お盆の頃は、恒例行事のようにテレビで第二次大戦の日本の敗戦と、その敗戦がもたらした

悲惨な状況を、とてもネガティブに放送している。

日本放送協会は特に力を入れているのか、当時は日本人であった朝鮮人戦犯について、

とうとうと悲惨さをこれでもかと放送していたが、敗戦による戦争犯罪という後ろ向きなテーマ

と真逆な設定をして、戦争における勝敗に命をかけた囚人達という、アクション戦争映画に

仕立てて、秀逸な映画になったのが「特攻大作戦」である。



特攻


http://jp.youtube.com/watch?v=377De8wshjk

「特攻大作戦」  六十七年公開作

監督はロバート・アルドリッチだけに、男の匂いがプンプンが香りたつ映像に仕上がっているし、

何より設定が、死刑囚や極悪人という戦争中にも拘わらず「塀の中の人々」を引っ張り出して

奇襲攻撃を仕掛けるという、正当な戦争からは逸脱した者達の活躍で・・・。

ここらに根底にある正当も正義も戦争の状況にあるはずもなく、勝つか負けるかの二者しか存在

しない過ちが戦争そのものと、テーマがしっかりしているし出ている俳優が、それを際立たせる。

時はノルマンジィー上陸作戦の前となれば、指揮系統のかく乱のために将校の集まるパーティ会

場の将校達を殺戮する奇襲作戦・・・。

戦時下でも司令官達はのんたらとパーティに明け暮れている。

敵軍のドイツという設定では、こういうものもありとなり、そこに死刑囚の兵が送り込まれる。

簡単に書いていくと、なんだかなぁの映画みたいだが、犯罪者達を鍛錬して鍛えぬき、実際は真っ

当な兵士に仕立ててからの作戦であり、「特赦」の特典もあり、正しやはり鍛錬自体に落伍者もいて

ここらは志願兵も犯罪兵もなんら変わることない・・・。

奇襲は見事成功し、指揮系統が弱くなったドイツ軍は、ノルマンジィーについての情報に疎くなり、

史上最大と後に言われる上陸作戦は成功した。その裏で犯罪者が友軍を救った形・・・。

と、内心戦果を上げた将軍達をあざ笑うかのような、犯罪者でも正規の兵でも作戦が成功さえすれば

優秀な兵隊と称えられる。

成功で「特赦」を得て、階級も上がり・・・。

しかし失敗すれば、勿論命がないから配給の担当者が「特攻」の文字をあてがったものだろうが、

「汚れた野郎ども」ってな邦題でも、充分に内容を示していて、ここらは少し頂けない。

汚れていようが、真ッサラだろうが、敵がいる限り、相手にとっても敵は「敵」以外の何物でもない。

垣間見える反骨心を、リー・マービン、チャールズ・ブロンソン、テリー・サラバス等一癖二癖の連中

が演じれば、締まったいい映画になる。

もっともアーネスト・ボーグナインの将軍役は、極悪人面があって、犯罪者よりも極悪人に見えてしまう

のは、「私だけ?」・・・、まぁ、作戦自体、失敗しても「戦力ならない囚人」なら、成功もうけもの、失敗だっ

たらまともな兵に任務追行追加ってな、考えを持った人物としての性格の悪さが顔に出て、設定に合致

してしまうって、見終わったあとでは、ありだなぁと感心した・・・。


と、まぁ、戦時下の犯罪人を危険な任務につかせる発想だが、敗戦ともなると戦争犯罪人となる任務に

忠実な兵がなってしまう・・・。

ここらは考えさせられるが、それを大上段に六十三年前の映像を交え切々と訴えるかのような編集で

あるなら、「東京裁判」自体の欺瞞へと突き進めばいいものを、弾劾されるのは戦勝国の身勝手な一方

的裁判というメッセージは流れることなく、どこかに日本軍の無謀さを訴えることに終始では、「自虐」的

思考が骨に染みた人と映るのだが・・・。

この「特攻大作戦」みたいな、犯罪者・死刑囚でも戦争で活躍すれば・・・。

ここらに大いなる矛盾がありそうなのに・・・。

日本放送協会のネガティブな放送を見て、こんな映画を思い出した次第です。


特攻大作戦
¥3,581
Amazon.co.jp               といったところで、盆休みの後の第一弾でした。
                                      またのお越しを・・・。