カルト的人気を誇る映画には、どこか通常のストーリーの欠陥や設定の曖昧さを
強引に進める力技があり、どちらかといえば「笑い飛ばす」類いの出来の映画にこそ
そこはかとないチープさと、映画としての駄目さと片寄った製作者の思いに観客が
シンパシィーを感じて、静かにそして穏やかに浸透していき、根強い人気を誇る結果
になってくる・・・。
そんな映画の範疇に入りそうな、「お馬鹿」な設定の映画がこの映画である。
http://jp.youtube.com/watch?v=pfTWYP4bE28
「シックス・ストリング・サムライ」 九十九年公開作
子連れ狼が、燃えよドラゴンになり、あるいはキル・ビルでマッド・マックス張りにおかしな
連中をやっつけ、ロカビリーの精神をもって「クロス・ロード」ばりのギター・バトルも中途半
端に再びカンフーで、平和の礎を築く・・・。
年代は逆行して、ロスト・ベガスでロカビリーの流行のキング・エルビスを目指すバディ・ホ
リー、というオマージュを主人公として、その主人公の破天荒な行動をと、五十年代のアメ
リカ音楽を知っている人には、大笑いする主人公のバディ・ホリー、そしてデイスク・ジョッ
キーのウルフマン・ジャックと、ストーリーがとっ散らかっていても、「アメリカン・グラフティ」
のパロディとも取れる、それに製作者の趣味の映画の一部分を重ね合わせると、全く訳分
からん映画が出来上がる・・・。
ただバデイ・ホリーとクロケッツを知っている人にとっては、笑いながら涙が出て来るという、
完全なノスタルジィー、何しろ原爆で何もかもなくなるから始まる物語。
それは「アメリカン・グラフティ」でのセリフ「バディ・ホリーが死んで、ロックン・ロールも死んだ」
の言葉を最初に再現して、そこから甦るバディ・ホリーはカンフーも子連れ狼も知っているから
子供も大切にして、一番を目指す・・・。
てな、五十年代からの知識のない人には、単なる「お馬鹿映画」に映る。
そして知っている人には、ここまでパロッてくれると、墓の下でホリーも笑ってくれるだろうと、
微笑みが起こる・・・。
もっとも映画としては、詰め込みすぎたものだから、すべてが薄っぺらでいただけない。
それでもウルフマン・ジャックの声か、似せた声かが聞けるだけでも、当時を知っている
人には、笑いながら懐かしさが溢れる・・・、そんなお馬鹿映画・・・。
にしてもこの主人公、バディ・ホリーを良く再現していた。
ロックン・ロールとスーツと黒縁メガネは、バディ・ホリーのトレード・マーク・・・。
何しろ黒人の殿堂、アポロ・シアターに白人として最初に出演したのが、バディ・ホリーである。
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- Amazon.co.jp といったところで、またのお越しを・・・。