八月十五日が近づけば、いやでも戦争の記事も増え、知らなかった出来事も
いい悪いに関係なく、知識として耳に入ってきたり、目にしたりする機会が増える。
去年もやはり、そんな関係から戦争ものという映画のエントリーをしたように思うが、
今回は、五十二年から三十九年にタイムスリップして戦争から逃げ回る庶民として
旅芸人一座の視点から捉えたギリシャ映画をば、「旅芸人の記録」という長丁場の
映画である。
http://jp.youtube.com/watch?v=7_rTgn1fdXA
「旅芸人の記録」 七十五年公開作
日本にも「人間の条件」という長丁場の映画があった。
五味川純平の映画だが、何しろ十時間近いもので、はっきり言って半分寝ていた。
オールナイト興行だから、夜十時に始まって映画館を出たのが朝で、そのまま寮に
帰れば、「朝帰り」の勇猛を称えられる?・・・。
まぁ、男のみの寮なんてのは、まさか映画を見ていた、それも一人でなんてのは、
あざけりの対象である。だから言わないままにしておけば、「女」で納まる・・・。
で、原作は読んでいたので、寝ていても・・・。
ただ、戦闘場面の退屈さと、最後の主人公に雪が降るには、作り物丸出しで笑って
しまった。
と、こんなことを書くのは、長丁場の映画を瞬きせずに見ていられる根性のないところ
を分かっていただき、「言い訳」を先に述べて・・・。
反戦思想の特徴は、当たり前だが犠牲になるのはいつでも無抵抗で無力な庶民と、
構図としてここでは旅芸人一座を据えているものだが、勿論目線は庶民であり、それが
強権を振るう軍事政権や、第二次大戦ではナチス・ドイツということになり、濁流に呑まれ
るかのような、流転の日々・・・。
薄暗い背景と合わせて、人々の心には青空がない。
そして生々しい迫害の記録としても、良く出来ている物語である。
そして特徴的なのが、時空を飛び越えても結局、何ら変わることない立場という絶望的な
制約の中でも、人々はそれなりに生活をし生きて行く・・・。
と、内容的にもひねった演出も良い出来で、ギリシャの当時の庶民の生き方が活写され
ている。
場面展開もさり気なく、真剣に見ていなければストーリーがこんがらがってしまうと言う、
変化も持たせて長丁場を乗り切っている。
こういうのを社会派と言うのだろうが、「人間の条件」のような「臭さ」がない分だけ、いや
遠く史劇の舞台であるギリシャだからこそ、素直な見方が出来ることかも・・・。
「人間の条件」の臭さに、当時でも辟易する場面もあり、「反戦」を訴えるのはいいとして
も、たとえば「キリング・フィールド」並みの緊迫感が欲しいし、軍国主義でも共産主義でも
一旦動き出したものを止めるのは容易なことではない。
映画としてこの映画は、良く出来た長丁場の映画という、本当を言えば長丁場につきもの
の居眠りで、懸命に話を脳内で繋げた人間には、そんな感想しか浮かばない・・・。
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- Amazon.co.jp といったところで、またのお越しを・・・。