猫好きな人々は多い。
その猫を使って、因果応報のことわざをより強烈に観客に訴える映画に、
主人の恨みを晴らすべく、妖怪猫に変身して復讐を遂げるというパターンの
映画が、五十年代の真夏の時期には必ず公開されていた。
もっともこちらは、リアルタイムで見ているわけでなく、再上映物を見たに過ぎないが
それでも行灯の油をすするシルエットとかは、強烈に残像が残った・・・。
この画像は明治時代の作品らしいが、もちろん鍋島藩の騒動の描写・・・。
で、この化け猫の始めは、この鍋島藩の騒動が一番有名で、「怪談佐賀屋敷」という五十三年
の映画には、化け猫になる入江たか子の怨念に歪む形相が、またアクションがスリルある映像になって
いて、怨念を晴らすまでハラハラして見ていた・・・。
まぁ、モノクロの映像が印影を濃くするし、時代劇の下地が今よりしっかりしていたから、化け猫の行状に
相当な恐怖を抱いたものだった。
「亡霊怪猫騒動」 五十八年公開作
新東宝の怪談映画、中川信夫のパートカラーを巧く使った作品。
現代をモノクロ、過去をカラーという具合にメリハリを利かせ、過去の出来事が
現代に甦り、化け猫と化す老婆の白髪鬼ぶりが、げに恐ろしい・・・。
怪猫の名が大概「お玉」などというと、流石に猫もメスの方が嫉妬深く、また執念も
猫一倍強烈なのだろう。
メス猫、老婆と、結局は女の無念を女が晴らしと、男はどこまで行っても「刺身のつま」
的で、女の嫉妬心からのいじめ、そしてそれへの報復を無念のうちに亡くなった主人に
代わって愛猫が・・・。
もっとも怪猫物の映画のストーリーは似たり寄ったりで、流石に先が読めてしまうまでに
なると、飽きがきてしまうものだ。
ただ、実在する猫の恐怖を描いたお笑いになってしまったあちらものの「猫」という映画に
比べたら、日本の映画の方が余程見ごたえがある。
http://jp.youtube.com/watch?v=oZEt6a1Fp7s
「怪猫 逢魔ヶ辻」 五十四年公開作
これだけがよーつべにリンクされていた。
主演は入江たか子、怪談佐賀屋敷、怪猫有馬御殿、怪猫岡崎騒動に継ぐ公開作である。
そして資料を見ると、十二月公開となっていて、真冬でも怪談物が上映されていたのに、
少しばかり驚く・・・、というか、こちらは夏休みで見た記憶しかない。
それも大概、三本立てで、中には当然「四谷怪談」ものが挟まれ、それにチャンバラ時代劇
と、この化け猫、すると黒猫を見つけると、どんな小さくても逃げる習性がつくのは、こういった
映画のなせる技なのだろう・・・。
蒸し暑い夜には、人の怨念が猫に乗り移り、不正や残忍な犯罪には、容赦ない報復を浴びせ
る・・・。ホラーと言うより、因果応報の教訓を示す格好の教材と言う捕らえ方も出来る。
仁侠映画で人生を学んだ東大の教授の文章を読んだことがあるが、ただ恐いだけでなく、
昔の映画には、どこか教育と言う観点が潜んでいたのでは・・・。
- 鍋島怪猫伝
- ¥3,591 といったところで、またのお越しを・・・。