お下劣ついでに、その名を轟かせた「イルザ」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

戦争犯罪を取り扱った映画は多いが、その行為が犯罪であるか否かは、当事者以外そうそうは

分からないものだが、こうであったろう、こうであらなければならないという、思惑も絡まって、双

方の主張を取り入れたものや、一方的に弾劾するものとか、兎角娯楽映画に持ち込むべきでな

いものを取り入れて、描いているものもある。

そんな作品群の中で、エロ・グロナンセンス・オンパレードだが、史実では暴虐な人がいて、それ

がしでかした行為であると、戦後にいたっても非難されるのだが、一方で苛まれる、いじめられる

残虐に殺されるに、いたく関心のある人々もいて、映画自体の評価はさんざんなのに、その主人

公の名と主演した女優は、役柄と同一視され性格の歪んだという代名詞に使われてしまう。

そんな映画とは「イルザ」ナチスドイツの強制収容所での蛮行を力いっぱい、グロテスクに描いた

ものである。



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http://jp.youtube.com/watch?v=dvxkMrtyJik&feature=related

「イルザ 悪魔の生体実験」  七十四年公開作


この映画、勿論「変態」グロ映画なのたが、非常に面白いのは出ているあるいは監督

とかが全員偽名で、主演のダイアン・ソーンだけが本名でクレジットされている点。

ようするに社会批判を充分に感じて、あるいはドイツの反感を恐れてってとると、金は

得たいが命は惜しいってな姑息な考えが、作る段階からあって袋叩きを覚悟したかの

低予算、そしてすごいのは製作会社さえ金を払いたがらない程のものを、プロデュサー

が金を工面して出演者に払い、公開にこぎつけた、もともといわくつきの作品であった。

第二次大戦時のドイツのユダヤ強制収容所については、その残虐さを告発されその中に

この女主人公みたいな、収容所長の妻がいて、それがこの映画のモデルとなっている。

その点は、ある程度歴史の暗黒面的見方も出来るが、それを映画はより以上にオーバー

気味に描かないと、それゆえ正常な神経を持ち合わせる人々には批難されるが、サド・マゾ

的趣味が多少でもあれば、裏に隠れていたものがスクリーンに躍るのには非常な魅力と

なって見えるものなのかも・・・。

だけに告発映画でもないし、その趣味の延長の「覗き」趣味的映像が続き、男根を切ってみ

たり、それはこの女所長を満足させられなかったという原因で・・・。

あるいは・・・。と、考えると気持ちが悪くなるので割愛します。

普段、普通に生活している人からすれば、相当にずれた感覚がないと、見ていられない映画

といったところなのですが、社会的批判と観客数は反比例で、この映画、ヒットしてこの映画の

亜流が勿論、目ざといイタリアで製作され、公開されるに至っている。

で、製作を思い立ったのがいるわけで、主人公にダイアン・ソーンを当てたのが、大当たりの

要因なのだから、その点は商売上手と褒めねばならない。

何しろあの大蔵貢も、「映画は博打」的思惑から、より刺激的な題名をつけながら、詐欺的映画

で客を釣るをやっているのだから・・・。

で、なぜこんな作品を紹介するかといえば、いまネットで批難ごうごうの「変態」毎日新聞のことが

あるからである。

こういった変態的映画も、今も笑いながらであるが、「イルザ」の名前を覚えているものである。

だけに「変態」と来て「毎日新聞」が脳内変換出来る意識が、後々残るのは日本人にとって、

捏造や偏向で卑しめるやからから身を守る最大の意識変革を起こすきっかけになるからだ。

この映画だって、公開したものの不入りだったら、この製作を思い立った男も野たれ死んだと

思えるが、これまでぱっとした役をしていなかったダイアン・ソーンの渾身の憎まれ演技が、

それを救った。が、この映画のため、ソーンは私が見ている映画女優の紹介覧にも名がないと、とて

も不名誉な境遇に於かれてしまった・・・、と相成ってしまった。

製作者にすれば正義感でなく、卑しめてやろう的思惑が満載の映画である。

ただ娯楽的要素を探せば、こういったサド的グラマーに惹かれる男も多いから、カルト人気には拍車が

かかる・・・。

もっとも女性にとって、卒倒する女の行動だろう。



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http://jp.youtube.com/watch?v=FQ1PB-ZbZhE

「イルザ、悪魔のハーレム」  七十七年公開作


前作好評につき続編は、アラブに飛び、前作の残虐性の描写を控えめに、やたらめったら

お色気に力を注ぐ出来上がりとなって、ピンク映画的趣旨に傾注させている。




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http://jp.youtube.com/watch?v=5UlSRa2CJYI

「イルザ 悪魔のリンチ地獄」  七十七年公開作


こちらは舞台をソビエト、シベリアに変えて、そこでの残虐な行為をと、ここまで来るとマンネリに

陥り、ソーンの毒々しい表情や演技も、作り物でみるべきものはない。

まぁ、ソーンの毒々しさは、中年おばさんの執念の恐ろしさを分からせてくれるが・・・。

何しろ一作目の時で四十三歳である。それがあの体型を維持していたというほうに、感心させられる。

このほか、ソーン自体が売れて、あのジェス・フランコと組んだのが「女体拷問人」で、そちらの方が、

サド・マゾ的趣向を好む人には、うってつけでは・・・。


女体拷問人 グレタ〈ヘア無修正版〉/ダイアン・ソーン
¥3,528
Amazon.co.jp                   こういったものを好む人はいて、それを批難することなく
                           趣味においては、何であってもいいわけで、堂々売っている
                           から紹介も出来るが、一部の趣向の人にしか受けないものを
                           一般の新聞社が文章とはいえ、記事にして配信していたという
                           事実には、恐ろしく憤りを覚える・・・「変態」が毎日新聞の代名詞
                           になりますように、「私、祈ってます~」
                                        といったところで、またのお越しを・・・。