第二次大戦において、引き裂かれた男女とかの物語は、これまでも多く
映画化されているが、そんな中で、イタリア産の物語は、使われている
音楽もとても哀愁の漂う曲が印象的で、そのうえ設定が、やはり女の哀
しみに集中するから、より一層映画に共感出来る。
また主人公を演じる女優の演技も、それに伴って・・・。
http://jp.youtube.com/watch?v=1_Rd_HlZYo4
「ブーベの恋人」 六十三年公開作
大戦末期のイタリア・トスカーナ地方の田舎の村が舞台のこの映画は、
そこで知り合うことになる男女の物語だが、パルチザンに参加している
兄の訃報を届に来た青年と、その妹が恋をするという実話に基づいた
ものである。
その主役の女性を、クラウディア・カルデナーレが演じているが、この
少しきつい風貌が歪む時の表情は、なんとも土の匂いが漂う悲しみに
満ちて、とても印象に残った・・・。
その相手は、ジョージ・チャキリスで、細身のイケメンで、凶暴そうにも
見えず、何より「女たらし」的に見えてきて、殺人を犯し逃亡・・・。
で一緒に田舎から都会へ逃げるが、追っ手がせまれば海外逃亡し
恋人は都会に置き去りにされてしまう格好だが、彼女はそこで生活の
糧を、また都会の華やかさに、やはり田舎育ちの憧れを抱いて・・・。
で、彼女が都会の暮らしの証にと、履くのが「赤いハイヒール」であり、
それがだんだん似合う女へと成長していく・・・。
それに従い、新たに親しくなる男もいて・・・。
と、女一人に、男二人の三角関係が出来上がるのだが・・・。
http://jp.youtube.com/watch?v=DmA6YsIgCE4
「赤いハイヒール」 太田ひろみ
この日本の歌も、都会へ出てきた女の子の悲哀を良く歌にしていて、
ふっと「赤いハイヒール」という、派手さの象徴と田舎出の哀しみが溢れて
いるように感じられるのは、この「ブーベの恋人」が影響しているかも・・・。
で、話しを戻すと、逃亡していた男ブーベが連れ戻され、裁判に掛けられて
その証言で偽証をしないためにブーベは、刑務所行きとなってしまう。
ここでこの主役の女性の、際立つ性格の凄さが描かれ、男を選ぶのに、ブーベ
を選び、誠実な青年の求婚を断ってしまい、二週間ごとに刑務所に通い続ける。
と、打算を蹴散らしとなって、車中の物憂い表情のカルデナーレの、その行動が
哀しみに包まれて・・・。
誠実な男と、少しあまったれな男、選択をしなければならない時、選んだ相手は
少し甘ったれでつめたい男・・・。
誠実な青年は、少しばかり可哀想、てな感想も出て、今日の一曲は「見つめてい
たい」にしました。ボリスの曲だが、何もかも彼女に、息さえもってな、未練たらたらな
感じが、青年に溢れていたので・・・。
と、気丈な女の選択が、題名が受け身な「ブーベの恋人」だが、今度は反対にこの
誠実な青年と同じような立場に追い遣られる女性の物語・・・。
その哀しみを「ひまわり」に込めて・・・。
再掲載文ですので、悪しからず・・・。
七十年公開のこの映画は題名通り「ひまわり」が戦争の無情さ
や哀しみを倍化させる作用をしていた。
ただおぞましい醜い争いをする人間がいようが、自然の営みを続
ける私達はいつものように、何も無かったかのように咲くだけだ。
と、人間の愚かさを気づかされる作用もある。
「ひまわり」からすれば、かつてはここで生き死にを繰り広げようが
夫婦の愛情が引き裂かれようが、そんな感傷で私達は生きてない。
自然の猛威に耐え、美しく咲き誇り、そして散っていくだけ・・・。
だから反戦映画だっていっても利用しないで・・・。
「ひまわり」が喋れれば、迷惑ですとでも言い出しかねないかも
にしてもひまわり畑は美しい。
それにヘンリー・マンシーニの音楽がとても調和している。
主演のソフィア・ローレンは年齢を重ねて、何とも凄いオーラをこの作
品では出していて、哀しみの深さに圧倒される。
反戦映画とはいえ、このマルチェロ・マストラヤンニが演じる男は、や
はりというか、かなりイタリア男の面目躍如である。
そしてそれに対した女二人が、どちらも作品を締める役割をしている。
戦争行為を静かに非難し、敵味方当事者の残虐さや偏った描き方は
なく、これが反戦映画の見本といった趣きである。
http://jp.youtube.com/watch?v=wbU-a99giUg&feature=related
ラストシーンの駅は、誰でもこのローレンに感情移入するだろう。
そして続くエンドロールは、映画の余韻を心に染み込ませる・・。
余談だが、このローレンで思い出されるのが「岸壁の母」である。
なんとも不釣合いかもしれないが、あの唄にも情愛が溢れている。
「母は来ました、今日も来た・・」
親不孝なこちらにしてみると、身につまされる・・・。
それにしてもウクライナの「ひまわり」は美しい・・・。
と、立場の違う二人の女性なのだが、どちらも気丈な雰囲気と、堪える悲しみ
と、流石な女優と唸ってしまう・・・。
それにしても、へたれな男の方がもてるのは、やはり母性の強さがそうさせる
のであろうか・・・。
現代女性が、この立場に立った時、どちらを選ぶか、少し興味深い・・・。
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- Amazon.co.jp といったところで、またのお越しを・・・。