ある意味、畏敬の土地を描いた「ウィッカーマン」 | 流浪の民の囁き

流浪の民の囁き

映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

スリラー映画には、現象で怖がらせるものもあれば、映像でもあり、

またこの映画「ウィッカーマン」のような、見知らぬ土地の変わった風習や人々の

思考、そして土着の宗教儀式とか、先進国であるという認識と相容れない頑なな

人々の、極普通の暮らしぶりに「恐怖」を感じる。

ようするに一糸乱れぬ意識の一致する土地に迷い込んだ「異邦人」の怖さという

ものを良く描いていた・・・。



ウィッカーマン001


http://jp.youtube.com/watch?v=UEOQqnHMSMc

「ウィッカーマン」  七十三年公開作


イギリスの孤島での人々の、都会からきた人間にとれば奇異な感じを与える土着の宗教観

から巻き起こる様々な様相を、巧い具合に映像化して「怖い」映画としているものだ。

こういう映画ってのは、田舎の風習や文化、豊富な自然への恐怖、そして都会との比較が

如実になるから、野蛮な風習とかへ落ち着かせようとするが、そこにはやはりキリスト教的思

考があるから、より異質な人々と映ってしまう。

だが、そこに暮らす人々にとって至極普通の感覚で、物事を受け入れている。

だからこそ、自分の価値観との違いにとても異様な出来事がすんなり行なわれると、それだけ

で畏敬の念が膨らみ、見ている常識人にとって、異色な映画と映る。

あるいはおぞましい野蛮人と毛嫌いが起こる。

その相反する思いが、その土地の信仰・風俗とかに対して言いようのない不安が生まれる。

何か知らない宗教的儀式に、常識がついていかず、それでいて恐怖しながら、魅力と感じるとい

う表裏一体となって存在する陰の部分への漠然とした不安とかを、この映画はそれらを見事に
表していると思うし、そこに凄く魅力を感じてしまう。

そしてこれがアフリカの黒人であったなら、嘲笑する気持ちになるのに、イギリスのトラディショナ

ル・フォークをバックされて白人達となるから、より惹き付けられる。

にしても、イギリスのホラーはハマーに代表されるように格調がどこか感じられ様式美として見て

いられるのは、流石に不思議だ・・・。

で、これをリメイクしたのが、ニコラス・ケイジだが、残念ながら・・・。



ウィッカーマン002

http://jp.youtube.com/watch?v=6gZfUoWZW6A&feature=related

「ウィッカーマン」  〇六年公開作


七十三年の映画を見て、ニコラスが惚れ込み映画化に尽力して捜査するロンドン警視庁の

刑事を熱演しているものだが、残念ながらこの映画のテイストに合わない風貌と、脚本のま

ずさもあって、リメイクに求められる新解釈も新鮮でなく、土着の風習・風俗・宗教観がぐだ

ぐたで、笑いが起こってくるのには、腹が立つ・・・。

もっとも前作を見ずに、こちらとなればそれなりには見られるかも・・・。

ただ都会の刑事という設定では、もう少し個性のある俳優にやらせればとは思うが・・・。


ウィッカーマン (ユニバーサル・ザ・ベスト2008年第4弾)
¥1,437
Amazon.co.jp               といったところで、またのお越しを・・・。