管理社会の破綻「未来世紀ブラジル」 | 流浪の民の囁き

流浪の民の囁き

映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

チベットの騒乱で、武力弾圧が人権無視・人権蹂躙と世界から批難を

浴びている今日この頃だが、チベット僧侶の発言で「何も独立を望んでいる

訳でなく、信教の自由を望むだけであり、そこに介入しないで貰いたい・・・」

云々の記事を報道から知って、こんな映画を思い出した。




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http://www.youtube.com/watch?v=291QciJA2Wo&feature=related

「未来世紀ブラジル」 八十五年公開作

これの元になった、あるいは参考にした小説「1984」は、完全な管理社会

における人間の欲求をも統制してしまう恐ろしく全体主義的社会の構築

に心血を注ぐ官僚と極一般的生活者の・・・。

これを見ていてサイエンス・フィクションなのだが、どうしてもカフカの不条理

へと行き着いてしまう。

映像も近未来的でなく、どちらかというとレトロ的映像で、カフカの「城」を想起

させる。管理社会では夢という「妄想」が唯一の娯楽・・・。

あるいはそこからはみ出たアウトロー的生き方しか、生き残る道がない。

そして管理社会の恐ろしさは、一部の官僚の独善的処理方法が、一人の人間の

行く末を決めてしまう・・・。

と、この映画を思い出せば、今現在のチベットの僧侶の言葉には、中共の共産主

義管理社会が、透けて見えてくる。

要するに、意見はいらない決定に従っていれば良い。

チベットが中国かといえば、全く違う国である。

強引な侵略を行い、民族浄化を推し進めているに過ぎない。

弾圧と密告とで、思想を固定化させる。

これはもうカフカの恐れていた管理社会で、同じ動きと同じ呼吸法で生きろを強要

しているに過ぎない。

映画は根底にカフカの不条理を置いているから、どんどん暗くなっていくのだが、

妄想と現実と見ている人に「翼を下さい」的、安堵感を幻想的に見せていて、映画と

しての鑑賞では、良く出来た映画である。

もっとも救いのない結末を、商業主義的立場では、どうしても終わり良ければすべて

良しで、いろいろなバージョンが存在して仕舞う結果になった。


と、実際はチベットの虐殺を暴動、騒乱で片付けようと配信する映像は、暴徒化した

市民で統一、それを日本のマスコミは素直に従って、垂れ流す。

もうこうなると、情報統制であるのだが、思想統制管理社会への一歩を知らず知らず

に歩まされる現実に気付くと、そりゃ暴動も起きると理解するべき・・・。

にしても、なんとも恐ろしい国家が、近隣にあるものだ。



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