どうも。今夏に全国各地で起こった大雨洪水災害の復旧予算を組むため、早急に臨時国会を開くべきところ、麻生太郎や旧安倍派の裏金議員による「石破おろし」によって石破茂首相が辞任に追い込まれ、開会は先送りにされます。麻生や裏金議員は自分が権力を得るためならば、被災者の救済など後回しでいいと思っている馬鹿野郎です。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『皆殺しに手を貸せ』です。

西部開拓時代末期の1870年アメリカ。泥棒稼業から足を洗ったモリーは愛する夫と慎ましく暮らしていたが、賞金稼ぎに夫を殺されてしまう。夫の名誉のため彼の無実を証明しようとしたモリーは巨大な陰謀の存在に気づき、自身の魂を死神に差し出して復讐の鬼と化す(映画.comより引用)。2025年日本公開作品。監督はオースティン・スネルで、出演はシェリー・リペル、ジェフ・ボワイエ、デイン・シュービー、デヴァン・R・ガルシア、カルメン・アネロ、パトリック・ポー、ショーン・ナイバーグ、ジェイソン・パフ。
アメリカ人のオースティン・スネル監督が現代に蘇らせたマカロニウエスタン(イタリア製西部劇)です。そのこだわりは1960年代のカメラを用いて16㎜フィルムで撮影するほどです。おかげでザラついて味のある映像に仕上がっています。
マカロニウエスタンだけでなく、ダリオ・アルジェント監督のサスペンス映画やオカルト映画のテイストも加味されています。そのため、血がたくさん出るグロ描写がてんこ盛り状態です。
主人公のモリー(シェリー・リペル)は、か弱き未亡人のキャラクターで登場しながら、泥棒夫婦の片割れという過去があり、その本性を露わにしていきます。自分を襲った悪党の内臓を引っ張り出したり、殺した悪党の死体を豚の餌にしたり、捕らえた悪党の金玉を潰したりと、やり過ぎなほど大活躍です。
主人公がそうなので、本作の登場人物は悪人だらけです。善人は新任保安官のボズリー(デイン・シュービー)だけです。この悪人だらけという設定はマカロニウエスタンの特徴です。イタリア映画人はアメリカの「正義」に興味を持ちません。だから善良で正義感のある保安官が、ならず者を退治するという西部劇を作りません。虐げられた悪人が虐げた悪人に復讐する西部劇を作ってきました。
このイタリア映画人の精神は、何故かアメリカ人のスネル監督に継承されました。悪徳保安官のフランク(ジェフ・ボワイエ)の説く「正義」に唾を吐きかけるように、政治家を目指す彼の自宅パーティーで壁に掲げられた星条旗に血飛沫を散らします。そこには、アメリカ・ファーストという「正義」の欺瞞性を批判する現代的なメッセージが込められているかのようでもあるのです。
★★★★☆(2025年8月26日(火)秋田県大館市・御成座で鑑賞)



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