瀬々敬久監督のロードムービー | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。台湾有事発言の尻拭いをしてもらおうと、高市総理はトランプ大統領との日米首脳会談を望んでいるそうです。しかしトランプ大統領を動かすには高い代償を払わなければならないでしょう。自己保身のために国富を差し出すのは売国奴です。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『獣欲魔 乱行』です。

 

ヤクザを辞めた男がテレクラで知り合った女と東京から京都へと移動する途中、仲間だったヤクザが合流して三人で旅をする。1989年公開のピンク映画作品。監督は瀬々敬久で、出演は中島小夜子、伊藤清美、伊藤猛、小林節彦、下元史朗。

 

瀬々敬久監督の初期作品であるロードムービーです。原題は『青空』ですが劇中に晴天は映ることなく、ずっと曇天模様です。

 

キャンピングカーの車中での濡れ場シーンがあります。低予算なのでスタジオを借りてセットを組むのが困難なピンク映画において、キャンピングカーを移動型スタジオとして活用したのは良いアイデアです。

 

後から加わるヤクザは鉄砲玉の仕事をしたので、報復のために追われる立場です。それゆえ三人の旅は逃避行の色を帯びています。アメリカン・ニューシネマの『俺たちに明日はない』やフランス・ヌーヴェルヴァーグの『気狂いピエロ』に通じるものがあります。これらの作品と同じく、三人の旅は破滅へと向かっていきます。殺伐とした廃墟でのロケ、ロングショットによる冷めた客観視が、その結末を強く匂わせます。

 

二人の男に同行する女は、昭和の未解決事件であるグリコ森永事件の犯人とされる「かいじん21面相」の一味だったという設定です。実際の犯行で恐喝に使われた、子供の声を録音したテープを劇中で使用することによって、その設定のリアリティーを補強しています。

 

その女に関わった二人の男が破滅してしまうのは「どくいり きけん たべたら 死ぬで」ということなのでしょうか。

 

★★☆☆☆(2025年11月28日(金)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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