どうも。秋田県知事がクマ被害に自衛隊派遣要請すると聞いて「クマを撃ち殺せ!」と興奮する人は、自衛隊法で自衛隊は害獣駆除に武器使用できないことに無知です。「クマかわいそう!」と感情論むき出しのクマ擁護派がバカなのは勿論のことでも、同じ土俵に立ってはいけません。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『課外授業 暴行』です。
卒業式を目前に控えた三人の不良高校生が、偽装結婚したアジア系外国人と知り合ったことからヤクザの抗争に巻き込まれていく。1989年公開のピンク映画。監督は瀬々敬久で、出演は中島小夜子、松永久仁彦、清野歴史、小川真実、加藤海彦、島田由香、山本竜二、佐野和宏、下元史朗。
瀬々敬久の商業映画監督デビュー作です。ピンク映画ゆえに煽情的なタイトルを付けられましたが、正式なタイトルは『羽田へ行ってみろ、そこには海賊になったガキどもが今やと出発を待っている』です。
ピンク映画ゆえに濡れ場シーンは必須です。しかし濡れ場シーンを除けば、本作は青春映画です。不良高校生とヤクザの絡み、在日外国人との共存という点で井筒和幸監督の『ガキ帝国』に似ています。大阪を舞台にした同作公開時、瀬々は大阪に住んでおり、両作品ともタイトルに「ガキ」が入っているので、影響が皆無とは言い難いです。
『ガキ帝国』との共通点は、主人公である若者たちが苦味のある末路を辿りながら、ラストで希望のようなものを示すことです。挫折しても再起できるのが青春時代です。北野武監督の『キッズ・リターン』も、それを最後の台詞で示します。
本作では多国籍で混沌とした共生社会が描かれ、そこは自由な空気に溢れています。それから36年が過ぎた現在、外国人との共生を否定する排外主義がインターネット上に蔓延しています。経済的にも精神的にも貧しくなり、不自由な社会に傾倒する日本は劣化したと思わずにいられないのです。
★★★☆☆(2025年10月4日(土)インターネット配信動画で鑑賞)

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