どうも。お笑い芸人の毒舌ツッコミは、当事者間の信頼関係と言葉選びのセンスがあるから成立します。素人が真似すれば、人間関係を破壊するおそれがあります。テレビで「危険だから真似しないでください」のテロップが必要なのかもしれません(視聴者をバカにしている?)。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『恐怖の館 マタンゴ・コレクター』です。
リゾート地を訪れた若い女二人がマザコン変態男に拉致監禁されて凌辱される。1987年公開の日活ロマンポルノ作品。監督は廣西眞人で、出演は渡辺玖未、木下絵里花、須藤正裕。
タイトルだけならホラー映画を期待しますが、正体は日活ロマンポルノ作品です。マタンゴという単語に東宝特撮SF映画の傑作『マタンゴ』との関連を予想しますが、本作の変態男が女性器に果汁を塗り、紙に押し付けて炙り出しをしたもの、いわゆる「マン拓」のことです。本作はタイトル詐欺をかましてきます。
本作の製作当時はアダルトビデオの普及によって日活ロマンポルノが衰退していた時期です。日活はアダルトビデオの作風を模倣することによって危機から脱しようとしました。フィルム撮影ではなくビデオ撮影、ボカシではなくモザイク、ドラマシーンより濡れ場シーンが長めです。
ストーリーはありきたりなベタ展開です。あまりに展開が読めるので、自分が予知能力者になったかと思いました。それほどストーリーに工夫がなく、蔑ろにされています。
本作のようなアダルトビデオもどきへの方針転換は、それまで日活にいたスタッフを離れさせ、更にストーリー性のある「映画らしい映画」を作りたい映画業界志望者を遠ざけました。それで日活は危機脱出どころか衰退を加速させることになりました。
本作の内容から得るものは何もありません。しかし公開当時の時代背景を加味すれば、経営危機に陥った場合、流行に乗ったり二番煎じに走ったりするのは悪手であるという企業経営者にとって大事な教訓は得られそうなのです。
★☆☆☆☆(2025年8月30日(土)インターネット配信動画で鑑賞)

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