どうも。郷ひろみと田原俊彦は、あの激しく歌って踊る芸風をずっと続けなければならないという修羅の道を歩んでいますな。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『エキサイティング・エロ 熱い肌』です。
一見平和そうな家族が各々の異常な性癖を露わにしながら破滅への道を歩んでいく。1986年公開のピンク映画。監督は佐藤寿保で、出演は陽星真見子、皆川衆、水上乱、伊藤清美。
その作家性の強さゆえに「ピンク四天王」の一人とされた佐藤寿保の初期監督作品です。ピンク四天王は佐藤、サトウトシキ、佐野和宏、瀬々敬久の四人です。
森田芳光監督の『家族ゲーム』、石井聰亙監督の『逆噴射家族』に連なる家族制度破壊映画と言えます。これら二作品が一般映画であるのに対し、成人映画である本作はより過激な表現で攻めています。盗聴、同性愛、自傷行為、近親相姦など現代の『ソドムの市』のような狂乱ぶりです。
エロに関しては、下着姿で汗だくになってエアロビをする母(水上乱)が頑張っています。これによって本作には熟女物としての一面もあります。特殊なエロだらけの本作には、血まみれのグロ描写もあります。これが強烈な描写なので、エロを期待した観客にとっては「金返せ」案件でもあります。
本作にはパンクロック系やノイズ系の楽曲が使用され、しかも原題はローリングストーンズの楽曲と同じ『GIMME SHELTER』です。すなわち本作はロック精神に溢れる反体制的映画であり、若松孝二や足立正生の作品と同ジャンルに分類することができます。
それにしてもバブル経済で好景気な1980年代に家族制度を破壊する本作が作られたのに対し、今では自称愛国保守が家族の絆を強調して選択的夫婦別姓制度に反対しています。この風潮は現代日本が貧乏国家に成り下がった証拠だと思えてくるのです。
★★★☆☆(2025年3月24日(月)インターネット配信動画で鑑賞)

にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)