【映画評】十一人の侍 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。都市部に住んでいても外国人に排他的であるのは、精神的根底が田吾作いなかっぺだからです。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『十一人の侍』です。

 

極悪非道な大名のため主君をうたれ、敵討ちのため十一人の暗殺隊が編成された。第一、第二の決死の暗殺計画に失敗しながらも、なおも敵の大名の行列を追い続け、日光街道の山深い宿場を最後の決戦場として、命を懸けた驚くべき皆殺し作戦を決行する侍十一人。なにが彼らを狂わせたのか――!?(東映ビデオオフィシャルサイトより引用)。1967年公開作品。監督は工藤栄一で、出演は夏八木勲、里見浩太郎、宮園純子、大川栄子、南原宏冶、林真一郎、汐路章、穂積稔、青木義朗、菅貫太郎、佐藤慶、西村晃、大友柳太朗。

 

工藤栄一監督の集団抗争時代劇です。タイトルは『七人の侍』のパクリっぽいですが、本作と同じ工藤監督の『十三人の刺客』の焼き直し感が強いです。どちらも命を狙われるバカ殿役が菅貫太郎ですから。

 

「幕府の理不尽な裁きに対する異議申立て」としての仇討ちは『忠臣蔵』と共通し、日本人の心の琴線に触れるテーマです。その定番のテーマに則りながら、仇討ちのリーダー格を『十三人の刺客』の片岡千恵蔵から本作の夏八木勲へと変えたことによって、新しい時代劇像を創り出そうとした意図が見えてきます。

 

終盤のバカ殿襲撃シーンでは、雨の中で泥まみれになりながら必死で斬りかかるリアル志向な殺陣を見せています。東映時代劇黄金時代における市川右太衛門の流れるように綺麗な殺陣ではなく、『七人の侍』や『十三人の刺客』のように荒っぽくてワイルドな殺陣です。これも新しい時代劇像の模索です。

 

仇討ちによって死屍累々の地獄絵図が描かれ、復讐の連鎖や暴力による解決の空虚さを見せつけます。それをラストで表現する大役を任せられたのは、『十三人の刺客』と同じ西村晃なのです。

 

★★★★☆(2025年1月6日(月)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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