どうも。発言や行動に公的責任を取らない「私人」に外交という国政の重要事項を委ねる日本政府のだらしなさ。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『大鴉』です。
エドガー・アラン・ポー作品に魅せられたヴォリン博士は、顔を醜く整形した脱獄囚ベイトマンを利用してポーの恐怖の世界を実現しようとする。1935年日本公開作品。監督はルー・ランダーズで、出演はボリス・カーロフ、ベラ・ルゴシ、アイリーン・ウェア、レスター・マシューズ、イネズ・コートニー。
エドガー・アラン・ポーの小説を原作にして映画化したのではなく、ポーの作品から着想を得て劇中に引用した怪奇映画です。それ故、劇中にポーの小説や詩が存在し、ヴォリン博士(ベラ・ルゴシ)がその内容に言及するシーンがあります。日本に置き換えれば、明智小五郎が江戸川乱歩の小説を読んだり、金田一耕助が『犬神家の一族』を観たりするシーンみたいなものです。
『フランケンシュタイン』のボリス・カーロフと『魔人ドラキュラ』のルゴシが共演しています。当時の怪奇映画スター夢の共演です。カーロフは不気味な特殊メイクで、ルゴシは大仰な演技で各々の個性を発揮しています。
残念ながら、本作の問題点はルゴシのキャラクターにあります。ポーの世界観に憑かれたヴォリン博士の狂気がギャグの領域に達しているのです。そうなると作品全体が長尺のコントになってしまうおそれがあります。そこまで行かなくても、恐怖の度合いが弱まる効果が生じてしまっているのです。
★★☆☆☆(2024年12月12日(木)インターネット配信動画で鑑賞)
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