どうも。市街地周辺に生息するクマ、いわゆるアーバンベアは山奥で生きる術を知りません。無理に山奥に放っても餓死するか、食物を求めて市街地に戻って来るかです。市街地のスーパーマーケットに現れたクマを「かわいそうだから山奥に帰せ」とか言うのは無知で残酷な偽善者です。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『濡れた賽ノ目』です。
ある港町の片隅、美人で評判の佳代がやっている飲み屋は彼女目当ての客でいつもにぎわっている。佳代は三年前から、市会議員の村上と深い仲になっていた。ある日、若い男女 ジュンとヨーコが町へやってくる。二人は何処かへ密航しようと考えているが、誰からも相手にされない。疲れ切った二人はたまたま佳代の店にやってくる。やがて明らかになる佳代の過去と昔の男、そして、ジュンとヨーコの自暴自棄な行動、物語は破滅に向かって進んでいく…(DVD商品説明文より引用)。1974年公開の日活ロマンポルノ作品。監督は若松孝二で、出演は司美智子、国分二郎、根津甚八、今泉洋、吉田純、外波山文明、山本昌平、篠原勝之、長田恵子、青山ミサ、山谷初男。
若松プロダクション製作で日活ロマンポルノとして配給された作品です。若松プロとしてはビジネスの一つであっても、結果的にマイナーであるピンク映画界の才能がメジャーな日活の配給網によって、より広く世に認知される機会を得たことになります。
根津甚八のデビュー作でもあります。当時の根津は唐十郎主宰の状況劇場で看板俳優の座にあり、同劇団で美術担当を務めていた“鉄のゲージツ家”篠原勝之も本作に出演しています。
劇中に自らの女性器を壺代わりにする女賭博師が登場し、それがタイトルである「濡れた賽ノ目」の由来です。その賭場のシーンはシュールな雰囲気を漂わせています。
若松作品の脚本は「出口出」名義で、その中の人は作品ごとに変わります。当時の出口出は専ら足立正生でしたが、彼がアラブに旅立って日本赤軍に合流したので、本作では荒井晴彦が出口出として参加しています。
そのため本作は若松作品にしては珍しい、政治性や社会性が薄くてギラつきのない男女の物語なのです。
★★☆☆☆(2024年11月27日(水)DVD鑑賞)
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