【映画評】叛女 夢幻地獄 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。『SHOGUN 将軍』のエミー賞受賞は、同作のプロデューサー兼主演の真田広之の師匠である千葉真一の夢を叶えたとも言えます。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『叛女 夢幻地獄』です。

 

遺産相続目的で殺人を続ける女の現実と妄想が錯綜していく。1970年公開作品。監督は足立正生で、出演は谷身知子、天野照子、美矢かほる、海のあさり、広岡昭子、叶みき、今泉洋、大和屋竺。

 

若松孝二が企画し、足立正生が監督したピンク映画です。監督や脚本家が本業である大和屋竺が俳優として出演しています。当時のピンク映画界で尖った才能が集結しています。

 

ピンク映画だからとワクワクして待ち構える観客が初めて見るのは老女(天野照子)の乳房です。これは一気に欲情が萎えた観客が本作を観るのを止めても不思議ではないサプライズです。

 

ピンク映画なので濡れ場シーンは多くても、そこにシュールな演出が施されており、エロさは弱まっています。これもまた観客を萎えさせる一因となります。

 

主人公の女(谷身知子)は殺人を手段として愛人から本妻へと成り上がります。彼女だけでなく、本作に登場する女たちは強く逞しく生きています。それに対し、女の夫(大和屋竺)は弱く頼りない存在に描かれています。この極端な描き方は、今であればフェミニズム映画と評価され得るものでしょう。

 

自己実現のためならば犯罪に手を染めることを厭わない主人公の姿は、『赤軍派 PFLP 世界戦争宣言』撮影後、中東に渡って日本赤軍に合流した足立の生き様と重なるようにも見えるのです。

 

★★☆☆☆(2024年8月19日(月)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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