どうも。年の瀬にキラー・カーンさん、坂田利夫さんの訃報が飛び込んできました。カーンさんはアンドレ・ザ・ジャイアントさんと、坂田さんは相方の前田五郎さんと再会しているのでしょうか。ご冥福をお祈り致します。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『色情旅行 香港慕情』です。
海外旅行ブームにわく香港を舞台に、刺激を求めて香港に蒸発した団地妻を描く(映画.comより引用)。1973年公開の日活ロマンポルノ作品。監督は小沼勝で、出演は宮下順子、小川節子、井上博一、やかた和彦、清水国雄、片桐夕子。
日活ロマンポルノでありながら、香港でロケーション撮影を行った珍しい作品です。海外ロケがポルノ映画に漂う貧乏臭さを消しています。
半世紀も前の香港の風景を撮ったのは、貴重な記録映像でもあります。このドキュメンタリー調の部分とドラマ部分を組み合わせた構成は、『太陽がいっぱい』に似ています。
失踪した妻(宮下順子)を探すため、香港に飛んだ夫(井上博一)は矢吹という男(やかた和彦)と関わることによって、香港の裏社会に染まっていきます。こうなると、ポルノというよりフィルム・ノワールに近い感じになります。
本作が制作される以前、井上梅次や中平康が香港映画を監督したことがあり、その時に日活の映画技術が輸入されたという話があります。本作は香港で撮影したことによって、日活がロマンポルノになる前の無国籍アクションのテイストに先祖返りしたのではないかと思わせるのです。
★★★☆☆(2023年12月6日(水)インターネット配信動画で鑑賞)
にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)