【映画評】青春の夢いまいづこ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。キリスト生誕の地であるベツレヘムで、ガザ情勢を受けてクリスマス行事を中止する中、遠く離れた日本では、クリスマスで浮かれるのですね。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『青春の夢いまいづこ』です。

 

かつての学友でありながら若社長と社員になった二人の青年。ベーカリーの看板娘をめぐって友情は揺れる(松竹・映画作品データベースより引用)。1932年公開作品。監督は小津安二郎で、出演は江川宇礼雄、田中絹代、斎藤達雄、武田春郎、大山健二。

 

小津安二郎が戦前の松竹で監督した白黒サイレント映画です。劇中の描写で、公開当時の日本が世界恐慌の影響で不景気だったこと、大学生が男子ばかりで女子の大学進学率が低かったことが分かります。その点で記録映像としての価値もあります。

 

父親の急逝により大学を中退して社長業を継いだ、堀野役の江川宇礼雄が洋風コッテリ顔であるのに対し、ベーカリーの看板娘お繁役の田中絹代は和風アッサリ顔です。この対比によって、田中のアッサリ感が強調されます。田中の和風アッサリ顔は、後の蒼井優や黒木華に継承されているような気がします。

 

本作において、小津監督はローアングル撮影や人物ワンカットなど後年のテクニックを用いていません。まだ外国映画への憧れが強かった頃だったのでしょう。

 

現実社会では、上司が新入社員に「学生気分が抜けていない」と説教することは珍しくありません。しかし、若社長の堀野はかつての学友が社員であるにもかかわらず、学生時代の友情を重視します。サラリーマン生活と無縁だった小津監督は、堀野の「学生気分」に共感できたと思われるのです。

 

★★☆☆☆(2023年11月29日(水)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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