どうも。この期に及んで、まだジャニーズを擁護している狂信的なファンは「ジャニオタ」ではなく、「ジャニキチ」と呼ぶに値します。「キチ」は気違い又は鬼畜の意味です。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『今日もまたかくてありなん』です。
自宅を夫の上司に貸したため、軽井沢の実家に帰省した妻が慎ましく生きる地元民と交流するも、その平穏な生活を都会から来たヤクザたちが脅かしていく。1959年公開作品。監督は木下恵介で、出演は高橋貞二、久我美子、中村勘九郎(5代目)、田村高廣、小坂一也、三国連太郎、藤間紫、三井弘次、佐野周二、中村勘三郎(17代目)。
木下恵介監督が中村勘三郎から一緒に仕事をしたいとラブコールを受けて作った作品です。勘三郎は現代劇初出演で、息子の勘九郎も子役で出演しています。
作品の舞台が『カルメン故郷に帰る』に近い地域です。コンクリートのビル街だらけの都会より、自然豊かな田舎の方がカラー映画に相応しいからでしょう。
誇張や外連味を排したリアル志向の演出は、主人公である妻(久我美子)の心情に合わせるかのように映画の雰囲気をシリアスにしていきます。物価の高騰、モラルの崩壊という当時の世情は現代にも通じるので、主人公の心情は共感できるものです。
勘三郎が演じる中老の男は、終盤でヤクザたちに殴り込みをかけます。短刀を手に斬りかかる勘三郎が、歌舞伎役者ゆえに出してしまう外連味を引きの画で撮ることによって消しています。これは東映の時代劇や任侠物が、クライマックスの決闘シーンでスター俳優を寄りの画で撮る演出と異なり、差異化が図られています。
中老の男は元軍人で戦前を懐かしんでいます。彼が仁義なきアプレゲール的ヤクザ、太陽族のようなチンピラを嫌悪して退治することに、木下監督の戦後に対する思いが反映されているのです。
★★★☆☆(2023年9月15日(金)インターネット配信動画で鑑賞)
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