どうも。「日本スゴイ」と悪あがきせず、日本は堕ちるところまで堕ちればいいのです。そうしたら伸びしろしかなく、本当の実力が明らかになりますから。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『河内山宗俊』です。
居酒屋に居候する河内山宗俊と、用心棒の金子市之丞。その日暮らしの生活を送る彼らにとって、甘酒屋の娘・お浪は心の慰めだった。ある日、お浪が不良の弟・広太郎の借金のために身売りすることを知った宗俊と市之丞は、彼女を救うべく手を組むが……(映画.comより引用)。1936年公開作品。監督は山中貞雄で、出演は河原崎長十郎、中村翫右衛門、市川扇升、山岸しづ江、市川莚司(加東大介)、原節子。
若くして戦病死した戦前の天才、山中貞雄監督の時代劇です。彼の監督作で現存するのは本作、『丹下左膳餘話 百萬兩の壷』、『人情紙風船』の3本のみです。
原節子の貴重な時代劇出演作です。また加東大介が市川莚司の名で出演しています。加東は本作と『人情紙風船』に出演し、加東の兄で長門裕之と津川雅彦の父である沢村国太郎は『丹下左膳餘話 百萬兩の壷』に出演しているという縁があります。
作品の前半は緩くてユーモアがある喜劇調です。そこから後半は緊張感があるシリアスドラマへと展開します。少々ストーリー構成が複雑な気もしますが、その展開はスムーズです。
本作では、自由に生きる浪人の金子市之丞(中村翫右衛門)より、殿に仕える武士たちを間抜けに描くという批判精神が発揮されています。その批判精神は、本作と同じ原作を用いた篠田正浩監督の『無頼漢』で更に強く表れるのです。
★★★☆☆(2023年2月10日(金)インターネット配信動画で鑑賞)
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