【映画評】幻肢 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。餓える人民を見捨ててアメリカを敵国としてミサイルを撃つ北朝鮮と、物価高騰に苦しむ国民を見捨てて中国を敵国として防衛費を増やそうとする日本は、よく似たものです。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『幻肢』です。

 

ドライブ中に事故にあった大学生の雅人と遥は重傷を負い、意識を取り戻した雅人は、遥と事故に関する記憶を失っていた。記憶を失った息苦しさと恐怖とで日増しに精神状態が悪化していく雅人は、精神科の先端療法である「TMS治療(経頭蓋磁気刺激法)」を受けることにする。それは、ある刺激を脳に与えることで失った記憶を呼び起こすという療法だったが、TMS治療を受けた雅人の前に、写真で見た遥の姿が浮かび上がるようになる。治療が進むにつれて記憶を取り戻していく雅人だったが……(映画.comより引用)。2014年公開作品。監督は藤井道人で、出演は吉木遼、谷村美月、遠藤雄弥、紗都希、宮川一朗太、佐野史郎。

 

ミステリー作家の島田荘司が映画用に書き下ろした脚本を原作とするミステリー映画です。その脚本は映画化された後に小説として出版されました。すなわち一般的な小説の映画化と逆のルートを辿っています。

 

通常のミステリー映画は他人が仕掛けた謎を解き明かします。それに対し、本作は失われた記憶という自分自身の中にある謎を解き明かすという特殊な形式をとっています。謎を仕掛けた犯人は自分の脳ということです。

 

ミステリー映画というジャンルなので、作り手には伏線回収やどんでん返しなど複雑な作業が求められます。その作業を当時まだ新鋭だった藤井道人監督は成し遂げています。後に藤井監督は『新聞記者』で高い評価を得ることになります。

 

本作のタイトルである幻肢とは、事故などで手や足を欠損したにもかかわらず、その欠損部分に感覚が残ることを言います。本作の主人公(吉木遼)は亡くなった恋人(谷村美月)の姿が見えてしまいます。これらの存在しないものが存在するように見え、それによって感情が変化するというのは、映画の本質に近いものがあるのです。

 

★★★☆☆(2023年1月24日(火)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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