【映画評】狂猿 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。日本の財政問題解決のために高齢者の「集団自決」を提案する若手経済学者の成田悠輔と、それを支持する若者層は自分が不老不死で高齢者にならないとでも思っているのでしょうか。そうだとしたら一人前の想像力がないバカです。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『狂猿』です。

 

1998年にデビューし、クレイジー・モンキーの愛称でリングで強烈なインパクトを与え続ける葛西純は、腰椎椎間板と頚椎椎間板ヘルニアの併発により2019年12月から長期欠場に入る。リングへの復帰に向けて調整を続ける葛西だったが、新型コロナウイルスという未曾有の事態がプロレス界にも襲いかかる。緊急事態宣言明けの2020年6月10日、葛西の所属するFREEDOMSは有観客興行の開催を決定。この日が葛西の復活第一戦となった。しかし、そこにはこれまでのプロレスのあり方とはまったく違う景色が広がっていた(映画.comより引用)。2021年公開作品。監督は川口潤で、出演は葛西純、佐々木貴、藤田ミノル、本間朋晃、伊東竜二、ダニー・ハボック、竹田誠志、杉浦透、佐久田俊行、登坂栄児、松永光弘。

 

デスマッチのカリスマと呼ばれるプロレスラー葛西純の生き様を追ったドキュメンタリー映画です。試合映像については、グロ描写が苦手な人は注意して鑑賞してください。

 

プロレス八百長論という世間からの偏見に対抗するため、痛みの伝わるプロレスを追求するのがデスマッチ路線です(別の対抗手段としてUWFの格闘技路線がありました。しかし総合格闘技の確立と隆盛によって廃れていきました)。葛西はその路線のトップランナーなので、より過激なデスマッチに挑戦し続けます。

 

本作はリング上での葛西だけでなく、リングを下りて家族と日常生活を営む葛西の姿も映します。観客の期待に応えるために血だらけ傷だらけになる葛西と、家族を愛して我が子と公園で遊ぶ葛西。両者のギャップは、葛西がプロフェッショナルであることの証です。

 

葛西の欠場中に新型コロナウィルス感染拡大により緊急事態宣言が発せられました。これによってプロレスだけでなく、あらゆるライブ興行が中止を余儀なくされたことは記憶に新しいところです。本作が映す緊急事態宣言前後の葛西は、同時期のエンターテインメント業界人の典型例になっています。

 

本作を監督した川口潤はミュージックビデオや音楽ドキュメンタリーを本業としています。それゆえプロレスラーに特化せず、エンターテイナーとして葛西の生き様を捉えているのでしょう。本作は(広義の)芸人の記録なのです(『旅芸人の記録』という映画もありますが)。

 

★★★☆☆(2023年1月7日(土)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

 

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