【映画評】忘れられた人々 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。国会議員になれば儲かって金持ちになるのではなく、金持ちの世襲ボンボンが国会議員になりやすいのです。そこを妬みや僻みで見誤って歳費削減などしたら、国会議員に優秀な人材は集まらないでしょう。民間企業に勤めた方が儲かりますから。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『忘れられた人々』です。

 

大都会メキシコシティのスラム街。感化院を脱走した少年ハイボは、街の不良少年たちのボスに返り咲く。ハイボは自分が感化院に送られたのはジュリアンの密告のせいだと知り、密かに復讐を誓う。ハイボ率いる不良少年たちは盲目の音楽師を襲ったり盗みを働いたりと悪行を繰り返し、仲間の1人であるペドロは罪悪感に苛まれるが……(映画.comより引用)。1950年製作のメキシコ映画で、1953年日本公開作品。監督はルイス・ブニュエルで、出演はエステラ・インダ、ミゲル・インクラン、アルフォンソ・メヒア、ロベルト・コボ。

 

ルイス・ブニュエルがメキシコで監督した映画です。『アンダルシアの犬』や『黄金時代』という前衛映画と異なり、ストーリー性のある作品に仕上げています。

 

メキシコシティのスラム街にいる不良少年たちの生態を描いています。これのブラジル版が『シティ・オブ・ゴッド』だと言えます。両作品に共通しているのは、子役たちが大人に媚びる、いかにも子役的な演技をしていないことです。大人が子供に媚態を強いるのは、文化レベルの低い三流国家がやることです。

 

不良少年たちは盲目の音楽師を襲います。この社会的弱者が更なる社会的弱者を見つけて叩く構図は、『時計じかけのオレンジ』や『その男、凶暴につき』でも見られます。残念ながら、現実社会でも社会的弱者への迫害は無くなっていません。

 

少年たちの非行を正す立場にある、本作の大人たちの大半はカッコよく描かれていません。不良少年が増加する原因は個々人の資質だけでなく、社会の貧困にもあり、その原因を作った大人たちを美化する必要がないからです。

 

悪行を繰り返した不良少年の末路は、救い難い絶望感に満ちています。本作を観ても何ら絶望感を生じなければ、現実に起きている若者の問題に無関心で、未来に対して無責任でいられるカッコ悪い大人でしょう。

 

★★★★☆(2023年1月3日(火)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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