【映画評】女(木下恵介監督版) | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。かつて暴走族対策として「珍走団」というカッコ悪い呼称を広めようとしたそうですが、今となっては暴走族そのものがダサくてカッコ悪い絶滅危惧種です。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『女』です。

 

ダンサーの敏子は、恋人でもあるやくざ稼業の正に無理やり箱根へと連れていかされる。どうやら正は罪を犯したようなのだが、そんな彼から敏子はなかなか逃れられず…(木下恵介生誕100年プロジェクトより引用)。1948年公開作品。監督は木下恵介で、出演は水戸光子、小沢栄太郎。

 

戦後間もない頃の予算不足のため、メインキャスト二人のオール・ロケで撮られた作品です。今でもインディーズ映画ならば、そうした映画作りがあり得ます。しかし本作は大手映画会社である松竹で作られました。

 

当時の映画制作は撮影所内にセットを組んで撮るのが当たり前でした。天候によって撮影スケジュールが乱れず、また撮影許可手続きの煩わしさを回避できるという利点があったからです。

 

しかし本作は撮影所を飛び出し、オール・ロケのロードムービー風で撮影されました。その結果として、フランスのヌーヴェル・ヴァーグ映画や、アメリカン・ニューシネマの先駆けのようになりました。

 

演劇ならば、メインキャスト二人すなわち二人芝居という形式はあり得ないことではありません。同じ形式でありながら、本作は出演者の表情を寄りのアップで捉える映画的手法によって、演劇との差異化を図っています。

 

これらのことから、本作は隠れた実験的・挑戦的作品と位置付けられるのです。

 

★★☆☆☆(2022年12月22日(木)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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