【映画評】フレンジー | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。銀杏が美味しい季節ですね。よく食べています。銀杏BOYZならぬ銀杏おじさんに改名しましょうか。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『フレンジー』です。

 

ロンドン、テムズ川沿いの街では、ネクタイで女性を絞め殺す殺人事件が頻発していた。バーをクビになったリチャードは、金に困り元妻の事務所を訪れるが、口げんかになる。翌日、彼女がネクタイ殺人鬼の餌食になったことから、彼に疑いがかかる(映画.comより引用)。1972年日本公開作品。監督はアルフレッド・ヒッチコックで、出演はジョン・フィンチ、バリー・フォスター、アレックス・マッコーエン、バーバラ・リー・ハント、アンナ・マッセイ。

 

アルフレッド・ヒッチコック監督の後期作品です。久しぶりにロンドンで撮影しています。渡米する前のイギリス時代の監督作には法廷シーンがよく出てきており、本作にも法廷シーンがあります。昔の引き出しを開けているかのようです。

 

犯罪者の濡れ衣を着せられた男という設定は、ヒッチコック監督の十八番ネタです。性的異常者が犯人という設定は『サイコ』に近いものがあります。ベテランならではの技巧を見せる、ヒッチコックの原点回帰にして集大成という作品です。

 

そうは言ってもヒッチコック作品の多くはモノクロであり、カラーで画質が良い本作はヒッチコック作品に見えないこともあります。また女性の乳首を映すエロや死に顔をアップで映すグロも従来のヒッチコック作品にはない露骨さです。ヒッチコック崇拝者で技巧を模倣するブライアン・デ・パルマの監督作だと言っても、騙せるかもしれません。

 

真犯人が発覚するラストシーンは、あっさりとしたものです。酷いことをした真犯人を酷い目に遭わせるカタルシスがありません。冤罪によって受けた心の傷は、わずかばかりの賠償金では癒せないという劇中の台詞があり、ラストシーンでモヤモヤさせるのは冤罪をかけられた者の気持ちを味わわせる意図があったのかもしれないのです。

 

★★★★☆(2022年9月23日(金)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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