どうも。国葬は国費による政治的イベントですから、国民の監視が必要で、招待者が欠席という形で政治的意思表明しても何ら非難に値しません。私人の葬式と区別できないのはバカです。そもそも安倍家の家族葬は済んでいます。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『青春怪談』です。
男勝りな千春と合理主義者の慎一の、ちょっと変わった恋愛模様を描く。1955年公開作品。監督は市川崑で、出演は山村聰、三橋達也、北原三枝、山根寿子、轟夕起子、嵯峨三智子、芦川いづみ、千田是也、北林谷栄、宇野重吉、滝沢修。
市川崑監督が日活で監督した作品です。タイトルはホラー映画のようですが、実はラブ・コメディです。所々に笑いを取ろうとしているシーンがあります。
千春(北原三枝)は父の鉄也(山村聰)を、慎一(三橋達也)は母の蝶子(轟夕起子)を再婚させようと企みます。熟年の親を再婚させようとする子という設定は、小津安二郎の『晩春』の逆バージョンです。こちらは子を結婚させるため、熟年の親が再婚すると言い出す話ですから。
『晩春』など小津作品は文学座の杉村春子のような舞台出身の演技派で脇を固める傾向があります。本作も俳優座の千田是也、民藝の北林谷栄、宇野重吉、滝沢修で脇を固めています。必ずしも舞台出身者の方に実力があるとは言えませんが、それによって作品がしっかりする気がします。
千春も慎一も時代を先取りしたかのようにクールでドライなキャラクターです。特に千春のキャラクターは北原の顔立ちにぴったりです。そして二人の現代的でクールな価値観は、脚本の和田夏十によるものです。
和田は千春に自分の価値観を投影させ、蝶子の女らしい言動や行動を冷ややかに(というか馬鹿にしながら)書いたのでしょう。市川作品に見られる和田の価値観は、日本のジェンダー問題を論じるに当たって、改善の一助となり得るものを有するのです。
★★★☆☆(2022年8月20日(土)インターネット配信動画で鑑賞)
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