【映画評】荒野のストレンジャー | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。戦後日本を復興させたのは戦争で亡くなった者たちではなく、戦争を経験して生き延びた者たちです。死者が労働して経済活動できるわけがないでしょう。そんなオカルト脳だと旧統一教会(家庭連合)のカモにされますよ。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『荒野のストレンジャー』です。

 

陽炎の中から馬に跨がり現れた謎の男は、いいがかりを付けた男どもを目にも留まらぬ早業で撃ち殺しその町ラーゴに居着く。その頃、以前逮捕した無法者たちが刑期を終え、ラーゴに仕返しにくる事を知っていた町の保安官は、その男の腕前を見込んで用心棒を頼む。その役を引き受けた男は町の男どもに射撃訓練をさせるが、町中を赤いペンキで塗らせたり、野外パーティの準備をさせたりと奇妙な行動も取って行く。そしていよいよ無法者たちが町になだれ込んでくるのだが……(Yahoo!映画より引用)。1973年日本公開作品。監督と主演はクリント・イーストウッドで、出演はヴァーナ・ブルーム、マリアンナ・ヒル、ミッチェル・ライアン、ジャック・ギンク、ステファン・ギラシュ、テッド・ハートリー、ビリー・カーティス、ジェフリー・ルイス。

 

クリント・イーストウッド監督第二作の西部劇です。流れ者が寂れた町にやって来るという設定や、主人公である流れ者(イーストウッド)のキャラクターは『荒野の用心棒』に近いです。

 

流れ者は名前が無く、ミステリアスな男です。銃の扱いだけでなく、「下半身の銃」も絶倫で凄腕です。現実に存在しないような人間離れしたキャラクターです。

 

ぶっきらぼうな性格の流れ者ですが、小人や原住民という弱者に対しては優しく接します。これは『ダーティハリー』のハリー・キャラハンが非白人や女性を相棒にしたことに通じます。映画の中でイーストウッドが演じる役柄は一貫しています。日本映画界で言えば、高倉健みたいな感じです。

 

弱者に優しい流れ者は町の住民に対しては厳しく接します。それは彼らがある罪を犯したからです。住民全員が共犯者です。流れ者は町の欺瞞を暴き、ある罪の主犯である無法者三人組を処刑します。単純明快な勧善懲悪ではないイーストウッド流のダークな西部劇です。

 

人間離れした流れ者が町を去るラストシーンは、彼が生身の人間ではないと匂わせる演出です。それは流れ者が亡霊であるという安易なオカルトではありません。流れ者はイーストウッドが理想とするアメリカ的な正義や良心の化身です。抽象的な概念を可視化できるのが映画なのです。

 

★★★★☆(2022年7月22日(金)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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