どうも。安倍晋三が「日本のケネディ」と呼ばれるのも、安倍昭恵が「日本のジャクリーン」と呼ばれるのも嫌です。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『鴛鴦歌合戦』です。
貧乏浪人と恋仲の娘に殿様が一目惚れしたことで長屋に騒動が起こる。1939年公開作品。監督はマキノ正博で、出演は片岡千恵蔵、市川春代、志村喬、深水藤子、ディック・ミネ。
戦前に作られた時代劇オペレッタです。オペラが悲劇的であるのに対し、オペレッタは喜劇的です。それ故、本作は陽気な楽曲や振付けで構成されています。
本作は日活作品でマキノ正博が監督し、宮川一夫が撮影しています。戦後、マキノはマキノ雅弘と改名して東映で、宮川は大映で活躍したビッグネームです。その二人が組んでいるのですから、大外れはありません。
殿様役のディック・ミネは歌手を本業としているので、歌が上手いのは当たり前です。その殿様が一目惚れする娘(市川春代)の父親役は志村喬で、その歌う姿は後年の黒澤明作品でのイメージと比べれば意外です。
本作はミュージカルとして成功しています。その原因の一つは時代劇とミュージカルという二つの「嘘」を組み合わせていることにあります。現代人からすれば時代劇は非リアルであり、突然歌い出すミュージカルも非リアルです。その二つを組み合わせているので、リアリティーの観点からのツッコミを無意味化できます。本作は「嘘」を楽しむものです。
また、もう一つの原因は「日本人にミュージカル映画は馴染まない」という先入観がなかったことです。当時の日本映画という分野は未開拓の部分が多く、そこへの挑戦に本気で取り組んだから、良い結果が生まれたのです。日本映画にミュージカル映画が少なくなったのは、作り手に「日本人にミュージカル映画は馴染まない」という先入観があるからでしょうが、それを脱却して本気で取り組めば面白い作品ができると思いますけどね。
★★★☆☆(2022年6月30日(木)インターネット配信動画で鑑賞)
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