どうも。『渚のはいから人魚』を聴くと小泉今日子ではなく、笑福亭鶴瓶の踊る姿を思い浮かべる世代のおっさんです。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『東京の宿』です。
失業中で子連れの男が同じ境遇にある女を助けようとする。1935年公開作品。監督は小津安二郎で、出演は坂本武、突貫小僧(青木富夫)、末松孝行、岡田嘉子、小島和子、飯田蝶子。
小津安二郎が戦前に監督した白黒サイレント映画です。原作のウィンザアト・モネは、Without moneyをもじった架空の人物名です。小津の遊び心が為せる業です。
失業中の男(坂本武)の息子役を突貫小僧と末松孝行が、失業中の女(岡田嘉子)の娘役を小島和子が演じています。この子役たちの演技には、大人に媚びるようなわざとらしさ、あざとさがありません。是枝裕和監督作品に出演する子役たちに近いものがあります。
不況だった当時の世相を反映させた貧乏描写が見られます。小津を敬愛するアキ・カウリスマキ監督作品に通じるものがあります。
人情物と謳われた本作でありながら、安易なハッピーエンドは避けられています。こうしたラストもまた当時の暗い世相が反映されたものなのです。
★★☆☆☆(2022年5月24日(火)インターネット配信動画で鑑賞)
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