【映画評】友だちのうちはどこ? | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。ウクライナ避難民の受け入れは大事ですが、ロシア人でありながらプーチン政権に反対する頭の良い若者の受け入れも大事です。ロシア国内にバカと老人しかいなければ、ロシアは自滅して敗戦しますから。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『友だちのうちはどこ?』です。

 

イラン北部にあるコケール村の小学校。モハマッドは宿題をノートではなく紙に書いてきたため先生からきつく叱られ、「今度同じことをしたら退学だ」と告げられる。しかし隣の席に座る親友アハマッドが、間違ってモハマッドのノートを自宅に持ち帰ってしまう。ノートがないとモハマッドが退学になると焦ったアハマッドは、ノートを返すため、遠い隣村に住む彼の家を探し回るが、なかなか見つけることができず……(映画.comより引用)。1987年製作のイラン映画で、1993年日本公開作品。監督はアッバス・キアロスタミで、出演はババク・アハマッドプール、アハマッド・アハマッドプール、ホダバフシュ・デファイ、イラン・オリタ。

 

本作が国際的に高評価されたことによって、アッバス・キアロスタミ監督の名が世界に広まったそうです。内容ははじめてのおつかい』に近いです。

 

出演者は素人俳優だけだそうです。台詞がペルシア語なので、台詞回しが上手いかどうかは判断できません。それでも主役のアハマッド(ババク・アハマッドプール)の不安そうな表情で伝えたいことは伝わります。

 

1979年のイラン革命後、自由な映画作りができないという理由で多くの映画監督がイランから去る中、キアロスタミはイランに残りました。そしてイランの日常を描く、政治性や社会性のない作品ということで当局の許しを得て、本作を作りました。

 

しかし本作が当たり障りなく、毒にも薬にもならない作品かと問われたら、決してそうではないと答えます。アハマッドが道中で出会う老人は、子供を躾けるには殴るのが一番で、殴る理由で作ってでも殴るべきであるという子育て法を語ります。イランの高齢層にとっては当然のことでも、世界基準ではド真ん中の児童虐待です。

 

本作では、ありのままのリアルなイラン社会が描かれています。しかし他国(特に欧米)からの視線に晒せば、その異常性が浮かび上がります。その仕掛けがキアロスタミ監督の隠れた意図であれば、本作はイラン社会に対して批判的な映画ということになるのです。

 

★★★☆☆(2022年4月21日(木)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

 

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