どうも。米国ニューヨーク司法試験の合否という一般人のプライバシーを日本全国に晒す日本のマスコミは狂っています。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『野良猫ロック セックス・ハンター』です。
米軍基地のある街で不良少女グループ、非行少年グループ、混血児たちが抗争を繰り広げる。1970年公開作品。監督は長谷部安春で、出演は梶芽衣子、安岡力也、藤竜也、岡崎二朗、高木蓉子、有川由紀、青木伸子。
『野良猫ロック』シリーズ第3作です。監督は第1作『女番長 野良猫ロック』の長谷部安春です。第2作『野良猫ロック ワイルド・ジャンボ』における藤田敏八の演出との違いを確かめられます。オフビートな藤田演出と異なり、長谷部演出は暴力性が強いです。
梶芽衣子、藤竜也の常連俳優に加えて、本作では安岡力也が出演しています。力也の本業は歌手なので、第1作の和田アキ子と同じポジションです。当時の力也はシュッとした体形で、ホタテマン以後のイメージとは大きく異なります。
非行少年グループ「イーグルス」のリーダーであるバロン(藤)は、過去にアメリカ兵が姉をレイプするのを目撃したことがトラウマで、アメリカ嫌いのインポテンツになります。それ故に不良少女グループのリーダーであるマコ(梶)のことが好きでも抱くことができません。そして数馬(力也)を含む混血児たちを襲撃します。
しかしイーグルスは黒人との混血児を襲う一方で、白人の基地関係者に媚びてビジネスをしようと企てます。こうしたイーグルスのダブルスタンダードは戦後日本のレイシズムの特徴そのままです(日本の警察官は不審な行動をする外国人を見た場合、彼が有色人種であれば職務質問し、彼が白人であれば見て見ぬふりをするそうです)。
本作で脚本を書いた大和屋竺は、2年後の日活ロマンポルノ『セックス・ハンター 濡れた標的』においても基地がある街の物語を書き、日米関係を批判します。同じ「セックス・ハンター」をタイトルにする本作のテーマも日米関係批判でありながら、本当に基地がある街である東京都立川市でロケーション撮影するという度胸の強さを見せます。
歪んだ国家関係は国民である個人の人生を歪めます。ロビンも数馬も歪んだ日米関係の被害者です。それが抗争の果てに至る本作のラストシーンを悲しいものにしているのです。
★★★☆☆(2022年4月9日(土)インターネット配信動画で鑑賞)
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