どうも。コロナと物価高騰で生活苦にある国民を眼中に入れず、防衛費を6兆円まで増大させようとほざく安倍晋三と岸信夫は本物のバカ兄弟です(『ドリフ大爆笑』のバカ兄弟は、いかりや長介と仲本工事ですが、彼らは役を演じただけです)。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『一条さゆり 濡れた欲情』です。
関西ストリップの女王・一条さゆりと彼女に対抗意識を燃やす新人ストリッパーとのドラマ(映画.comより引用)。1972年公開の日活ロマンポルノ作品。監督は神代辰巳で、出演は一条さゆり、白川和子、伊佐山ひろ子、絵沢萠子、高橋明、粟津號。
本作は興行的にヒットし、ポルノ映画でありながら公開年にキネマ旬報日本映画ベストテン8位入りしました。それまで燻っていた神代辰巳監督の出世作です。
主人公は一条さゆり(本人)ではなく、新人ストリッパーはるみ(伊佐山ひろ子)です。本当にあった一条の引退興行を再現したパートと、はるみを中心とするドラマのパートの組み合わせで構成されています。ノンフィクションとフィクションの融合です。
低予算映画なのでスタジオにセットを組んで撮影することなく、ほとんどの屋外シーンは大阪でロケーション撮影されています。それ故に本作は1970年代大阪の記録映像としての一面もあります。
劇中で何度も流れるのは江州音頭の春歌だそうです。リズミカルな調子が作品を活き活きとさせます。神代監督作品は民謡や歌謡曲の挿入が特徴的です。これは神代が「渡り鳥」シリーズの助監督を務めてきた経験によるものでしょうか。それならば神代も日活イズムの継承者と言えます。
神代監督作品らしい緩めの演出なので、ドラマ的な盛り上がりに欠ける感があります。しかし、本作は映画という虚構を越え、現実を変えました。引退興行中に公然わいせつの容疑で逮捕され、裁判中だった一条が本作で引退興行の艶技を再現したことによって検察側に復帰の意図ありと解され、審理のやり直しになったのです。観た個人の内心だけでなく、現実世界に影響を与える作品は稀だと思うのです。
★★☆☆☆(2022年3月26日(土)インターネット配信動画で鑑賞)
にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)