どうも。マイケル・ムーアがロシアのウクライナ侵略についての報道をアメリカの戦争屋のプロパガンダとするのは、定番の逆張り芸です。陰謀論を拡散するのは社会的害悪なので止めて欲しいですね。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『大学は出たけれど』です。
主人公の青年は大学卒業後、就職難で職探しをしている。そこへ田舎から、「就職した」という彼の嘘の電報を受け取った母親が、彼の婚約者と決めた田舎の娘を連れてやってくる。娘は男が無職なのを知ってカフェで働くことにする。男は奮起し再び就職活動を始め、職を見つける(松竹データベースより引用)。1929年公開作品。監督は小津安二郎で、出演は高田稔、田中絹代、鈴木歌子、大山健二、日守新一、坂本武、飯田蝶子。
小津安二郎監督の初期作品で、1955年に野村芳太郎監督で同タイトルの作品が作られています。白黒サイレント映画でオリジナルの上映時間は70分ですが、現存するのは11分の短縮版です。
主人公(高田稔)の婚約者である娘役を田中絹代が演じています。戦前の清純派スターだった田中の姿を見ることができます(戦後は演技派のベテラン俳優になります)。
短縮版なので、小津監督独特のテクニックがあるかどうか判断できません。ただ主人公の部屋に喜劇俳優ハロルド・ロイドのポスターが貼られていることから、戦前の小津監督は洋画に傾倒していたと思われます。
本作の公開当時、不況のため大学卒の就職率が約30%だったそうです。就職氷河期世代が経験した状況に近いものがあります。本作の主人公は大学卒のプライドを捨てることで正社員として就職できました。しかし、現代日本においては大学卒のプライドを捨ててもブラック企業に拾われ、パワハラ上司にこき使われて心身ともにボロボロされるのだろうと思えて切なくなるのです。
★★☆☆☆(2022年3月21日(月)インターネット配信動画で鑑賞)
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