【映画評】さようならCP | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。コメディアン出身のゼレンスキー大統領が紛争当事者にもかかわらず冷静な演説をした後、女優出身の山東昭子参院議長が「勇気に感動している」と感情的な大根芝居をしたのを見ると、ウクライナと日本の政治家の能力格差だけでなく、エンターテインメントの格差も痛感させられます。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『さようならCP』です。

 

CP(脳性小児麻痺)者の団体“青い芝”との共同製作で、身障者たちの生活と思想をとらえたドキュメンタリー(映画.comより引用)。1974年公開作品。監督は原一男で、出演は横田弘、横塚晃一。

 

ゆきゆきて、神軍』の原一男監督第一作です。原監督は自らカメラで撮影し、画面にも映っています。

 

CPの横田弘は健常者のいる街に出ます。車椅子から降りて不自由な四肢で移動します。同じCPの女性と結婚し、健常者の子供を授かります。これら全てはCPである横田による、健常者で構成される世間に向けての闘争です。

 

原監督のカメラは街中でCPを見る健常者たちの表情や反応を容赦なく記録します。そこでは同情による優しさが上から目線の偽善のようにも映ってしまいます。

 

偽善ではないかという疑いは原監督にも向けられます。自分はCPを見世物にしているだけではないかという疑いです。自問自答して迷い悩むという作者の内心も表現されている点で、ドキュメンタリーとは主観的なものです。純粋に客観的なドキュメンタリーなどありません。

 

原監督のデビュー作なので粗削りな出来であることは否めません。しかし多様性が尊重される現在だから重要な作品なのです。

 

★★☆☆☆(2022年3月17日(木)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

 

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