【映画評】幸福 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。火力発電所の地震対策を満足にできない日本が、原子力発電所の安全な再稼働をしようなんて百万年早いです。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『幸福』です。

 

妻に去られ二人の子供を育てる刑事と、恋人を殺され報復に燃える若い刑事を主人公に事件が解決される過程で、現代社会における幸福とは何かを描く(映画.comより引用)。1981年公開作品。監督は市川崑で、出演は水谷豊、永島敏行、中原理恵、市原悦子、加藤武、浜村純、草笛光子、谷啓。

 

市川崑監督作品でありながら、原作者エド・マクベインとの権利問題や「銀残し」で現像されたフィルムのカラー調整作業があったので、2009年までソフト化されませんでした。本作をモノクロで撮りたかった市川監督の要望は製作側から反対され、妥協して『おとうと』以来の銀残しを用いたそうです。

 

横溝正史原作の金田一耕助シリーズである『病院坂の首縊りの家』から2年後のミステリー作品です。加藤武、浜村純、草笛光子ら市川作品常連俳優が出演し、加藤は金田一耕助シリーズでお馴染みの「あの演技」を見せてくれます。

 

主人公の村上刑事役を演じる水谷豊は唯一の市川作品出演です。テレビドラマ『相棒』シリーズの杉下右京役で見せる「静」の演技と異なり、感情的な「動」の演技を見せてくれます。

 

本作で子育てに悪戦苦闘する村上刑事の姿は、『クレイマー、クレイマー』のダスティン・ホフマンに重なります。テレビドラマ『傷だらけの天使』最終回と『真夜中のカーボーイ』の類似性から、水谷は「和製ダスティン・ホフマン」を志向していたと思われます。

 

村上刑事の家庭など様々な人間関係を描くのが本作のメインであり、それは見応えがあります。それなのに真犯人を捜し出すミステリー部分が、まるでやっつけ仕事のように雑なのは残念なのです。

 

★★★☆☆(2022年3月12日(土)DVD鑑賞)

 

 

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