【映画評】和製喧嘩友達 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。国政選挙も地方選挙も、主権者である国民または住民が有能な「下僕」を選ぶ採用試験というスタンスで臨みましょう。決して「偉い人」を選ぶのではありません。立候補者に対して上から目線で大いに結構です。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『和製喧嘩友達』です。

 

仕事仲間である男二人が共同生活を送っている。ある時、身寄りのない女が二人の家にやってくる。彼女をめぐって対立が起こるが、女は近所の学生と相思相愛になり結ばれる(松竹作品データベースより引用)。1929年公開作品。監督は小津安二郎で、出演は渡辺篤、吉谷久雄、浪花友子、大国一郎。

 

小津安二郎監督の初期作品で、白黒サイレント映画です。オリジナルの上映時間は77分ですが、現存するのは14分の短縮版です。

 

脚本は戦後の小津作品を数々手掛けた野田高梧です。娘が嫁ぐのを見送るというシチュエーションは『晩春』に通じるものがあります。

 

1929年=昭和4年に作られた映画にしては、思っていたよりモダンです。男二人(渡辺篤、吉谷久雄)の職業はトラック運転手で、食事は椅子に座ってテーブルを囲む洋式です(それでも朝食はパンではなく、炊き立てのご飯です)。

 

リチャード・ウォレスの喜劇映画『喧嘩友達』を元ネタにしていると言っても、当時の東京の生活レベルと一致していなければ、観客が納得しません。戦前の東京は意外とモダンで、それを描く小津は都会派作家ということになります。

 

悪く言えば西洋かぶれしていた小津が、戦後に日本的情緒に基づく作風に変わったのは、アメリカ映画と同じ土俵で戦っても勝てないと悟ったからでしょう。日本の敗戦は小津にとってアメリカ文化の勝利であり、衝撃的な人生の転機だったのです。

 

★★☆☆☆(2022年3月3日(木)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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